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「新入生?」
「え、は、はいっ」
寮の前で声をかけられて、振り向くとそこには青い色のネクタイをつけた先輩が立っていた。
青いネクタイは二年生だ。
「こんなところでどうしたの?」
「いや、…ただ、桜を…」
そう、ただ桜を眺めていた。
「あぁ…綺麗だよね、この桜」
先輩は一瞬不思議そうに目を丸くしたけど、そう言って桜の木を見上げた。
すると向こうから二人の人物がやって来た。
「あ、藍野(あいの)くん…と、誰?私服だけど寮で見かけたことないし…あ、新入生?」
「入学式は明日だよな?何してるんだ?こんなところで」
先に俺に声をかけたこの人は藍野先輩と言うらしい。
苗字か名前か分からないけど。
「んー…お花見?」
藍野先輩は俺を見て笑った。
その顔が笑っているはずなのに何故かどこか悲しそうに見えた。
「お花見って、見てただけだよな?」
背の高い方の先輩が藍野先輩と俺を見て首を傾げた。
「それでもお花見でしょ?」
「…まぁそうか?」
「僕は飛世菫玲(ひせ すみれ)っていうんだけど、君の名前は?」
藍野先輩ともう1人の先輩が話している間に、背の低い(と言っても俺と同じくらいの)先輩が俺に話しかけてきた。
「えっと、菱沼灰凌(ひしぬま かいり)です」
「菱沼くんか〜!寮生?」
「そうです、飛世先輩もですか?」
「ふふっ、そうだよ。飛世先輩だって」
「…そりゃあな」
もう1人の先輩に振り返って、飛世先輩はくすぐったそうに笑った。
この二人の先輩は仲が良いのかな?
「俺は古瀬桐哉(ふるせ とうや)。菫玲とはクラスメイトなんだ」
「古瀬先輩…」
そっか、クラスメイトなんだ。
チラッと藍野先輩を見ると、ふっと笑った。
「俺は藍野直澄(あいの なおすみ)。俺も寮生だから、よろしく菱沼くん」
「は、はい、よろしくお願いします」
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