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29 ライバル2
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「あれ……?」
蒼は瞳を開ける。
酒を飲んだ次の日は、案外さっぱり目が覚めるのだ。
少し息苦しいけど。
大丈夫かな?
喉に手を当てようとしてふと動きが悪いことに首を傾げる。
「?」
そっと身体を起こしてビックリした。
自分は、着物を着たまま眠っていたようだ。
しばらく瞬きをして、現状を考える。
自分の部屋じゃない。
「えっと……」
そうだった。
ショルの演奏会が終わって、この部屋で興奮して祝杯を挙げたところまでは覚えている。
だけど、その後のことはよく覚えていない。
ふと横を見ると、同じベッドでショルが気持ちよさそうに寝息を立てているところだった。
「そっか」
眠っちゃったんだ。
結局、朝になってしまったようだ。
「関口……怒っているだろうな」
少し咳き込んでからベッドサイドに座る。
「はあ……」
しばらく呼吸を整えていると、ドアが激しく叩かれた。
「っ!?」
『な、なんだ?』
ショルはびっくりして身体を起こす。
そして蒼を見てにっこり笑顔を見せた。
『おはよう』
彼は満面の笑みを浮かべてつつ、蒼にキスをする。
「はッ!?」
ビックリした。
蒼は思わず、身体を後ろに引いた。
そして、そのままベッドから落下した。
「はひ!!」
『大丈夫!?蒼?』
「い、痛……」
それでも鳴り止まないノックにショルは蒼を助け起こしてからドアを開けた。
『関口』
『ショル、寝てたか?すまないが……』
そこで彼の後ろに関口の顔を見つけてショルは笑う。
『圭』
ショルに対して愛嬌を振りまく余裕もない。
関口はむっとしたまま、彼を見る。
「蒼は!?」
『蒼?』
意地悪に笑うショル。
関口はむっとして彼に掴みかかった。
『お前っ!蒼はどうしたんだって聞いてんだよ!』
「関口っ!?」
関口の声を聞きつけて、蒼はベッドから飛び起きる。
嬉しい。
逢いたかったから。
急いで出て行こうとして、乱れた着物の裾に突っかかる。
「わわ!」
どて。
思い切り転倒。
帯も外しているし、ひどい有様だ。
「蒼!」
寝やすいように解いた帯だったけど、関口からしたら疑惑の格好だ。
彼は、ますます怒った。
『蒼にこんな格好させて!蒼は接待役じゃないんだぞ!』
『可愛い子に可愛い格好をさせてなにが悪い?』
壁にショルを押し付ける関口。
蒼は慌てて二人の間に入った。
「やめて!関口!ちょっと……ッ!」
大きな声を上げて止めに入った蒼は、呼吸に違和感を覚え咳き込んだ。
「蒼!?」
関口は、ビックリして蒼を抱きとめる。
「大丈夫……っ」
「最近薬さぼっているから」
咳は止まらない。
薬を飲んでいなかったと言うことや乾燥していると言うことなど、いろいろな要因が重なったのだろう。
「ほら」
関口は持ってきていた吸入を蒼に吸わせた。
「はあ、はあ……関口。ごめんね。黙って、出てきて……」
「そうだぞ。おれは怒っているんだからな!」
蒼の発作にショルと圭一郎は黙って見守っている。
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