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59.春の受難3
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「わ~!わ~!!」
遅刻~!!
蒼は慌てて走る。
結局、二度寝したのが運の尽きだった。
年度初めからの遅刻だなんて大失敗。
最近では精神的にも安定しているし、薬もちゃんと飲んでいるから喘息の調子もいい。
こうして走ってもなんとか人並みにいられた。
「こら!遅いぞ!蒼」
案の定。
事務室に入ると氏家の声が飛んだ。
「す、すみません」
あれ?
水野谷は?
蒼はきょろきょろした。
その疑問を星野が解決してくれる。
「課長?今日は新年度の初日だから。補充要員の辞令交付式が午前中にあるだろう。それに出ているんだ」
そうか。
そうだった。
「蒼もお昼頃、課長に連れられてきたもんね」
吉田もにっこり笑っている。
「とうとう蒼も先輩か~」
尾形の声。
「本当だ。おれも下っ端教育係脱出です♪」
「おいおい。下っ端教育係って言うのはいつまでも付き纏うんだぞ?おれなんかみろ。いつまでもお前のお守りをしているじゃないか」
嬉しそうにしている吉田を尾形が茶化す。
事務室は笑いに包まれた。
蒼はほっとした。
良かった。
今年もここで働ける。
どんな年になるかな?
いい年になるといいんだけど。
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