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しばらくは、と言う時間の経過すら曖昧だが、とにかくかなり長い間、達夫はまぐわう2人を眺めていたようだった。やがて息子の肩を、踵で押しやるよう蹴飛ばす。
「味見は十分だろ」
父親の言うことなど、彰は聞く気を持たないようだった。脱力した譲治の身体を、しなやかな逞しい腕で抱き起こす。濃厚な汗の匂いに、うっすら開いた譲治の目へ飛び込んできたのは、会心の笑み。自らを作り上げた父親を父親とも思わず、1人の男から獲物を奪い取った男の晴れやかな傲慢が、その端正な横顔一杯に広がっていた。
今や達夫も、我が子を子供扱いする気は無くしたようだった。肌を焼くような、強圧の下目遣いがだぶらせるもの。いや、そもそもこれは先に、彼へ見いだしてから、彰に重ねたのだろうか。
「お前は昔から、そういう真似が得意だったよな」
髪を撫でつける手がひんやりと感じるのは、自らの熱が上がっているせいに違いない。風呂をとどめとする一連の積み重ねにより、今や譲治の脳は完全な熱暴走状態へと陥っていた。へらりと笑いかければ、顔を近付けた達夫は「最高にそそる」と耳打ちした。
「ああ、そうさ。泣き真似、ごますり、かまととぶった仕草に、無邪気な背伸びのふり。どれもこれも、相手の喉笛へ食らいつく為のおためごかしなんだ。昔の俺を見てるみたいで、反吐が出る」
「仕方ないだろ」
答えた彰が浮かべるのは、見ているだけで肌が粟立つほど、官能的な微笑みだった。
「あんたの子供なんだから」
「それもそうか」
ふんと鼻を鳴らし、達夫は既に反らされていた譲治の顎に指をかけた。すぐさまぬるりと滑り込んできた舌に、譲治も嬉々として応える。
その話術と同様、達夫のキスは巧みで、強引だった。ひくつく舌先から根本を強く押し絡められたかと思うと、吐き気を催すぎりぎりの深さまで差し込んで、瀬戸際の陶酔に陥れる。
爪先立つような快感を与えてくれる存在へ、譲治はいつの間にか縋り、首へと腕を回して続きを求めていた。「ちょっと」と不機嫌な声を上げた彰を、達夫は僅かに唇を離す合間「まあ見てろって」と制する。
胡座を掻いた達夫へ背を預ける姿勢は、真正面に陣取る彰へと見せつけるために他ならない。さすがに羞恥が沸き上がり、掲げた片腕で目元を覆う。
「ああ、本当にさ……こんなエロい塾の先生いてたまるかよ」
溜息混じりの嘆きが頬を打ち、思わず上半身を突き出す。また汗が滲んでしまった胸乳を、つと撫でる指先に、びくりと肩を跳ねさせた。すかさず達夫が「まだだ」と叱りつける。
湯で温まり弛緩した筋肉は、まさぐりを易々と受け入れた。使い切りローション一袋を絡めただけの指が、アナルに潜り込む。ぐにぐにと蛇行させながら押し進める強引な動きだが、一本だけだと、こんなものかと思ってしまう。
「そんな簡単に入るんだ」
立て開かれた膝の奥を覗き込み、呟く声は、揶揄よりも好奇心が勝っている。
「父さんが開発したの?」
「違う」
やはり体温が低いように感じる中指を締め付けるたび、熱い直腸から鳩尾に掛けてきゅう、と痛みを思わせる快感が走る。事実、最初の頃は勘違いし、触られるたび恐怖で泣いていたほどだった。
今では二本目の指が差し込まれても、余裕を残していられる。調子の良くない身体は異物へ過剰に反応し、凹凸のある腸壁を薙ぎ倒して広げる指が上下すれば、ねちゃねちゃと粘液を泡立たせた。
自らの体内から鳴り響く卑猥な音が、自虐的な興奮を煽る。そろそろと腕を下ろし、譲治は唇を笑み崩れさせた。
効果は絶大で、燃えそうなほど頬を紅潮させた彰が、勢いよく身を乗り出す。
「僕にも触らせて」
「うーん」
これ以上ない上機嫌で、唇をむずむずさせながら、達夫は仰け反る譲治の頬に頬を押し当てた。
「どうしようかな。なあ、別所。触らせてやってもいいと思うか」
「いじわる、するなよ、大人げない」
自らも擦り寄りながら、譲治は尻の下の勃起を押し潰した。まだ勢いない反発が、気に入らない。
「でも、触るだけで満足?」
これみよがしに、自らの胸へ指を伸ばすのは意趣返しだ。先ほど付けられた歯形を爪で撫で辿り、指の腹で乳首を掠めるように弄る。爛々と輝く彰の目に芝居っ気はない。隠すことない獣性にうずうずる身体は、今にも飛びかからんばかりだった。
母猫の乳房を探す子猫へ、腹が膨れるまでミルクを与えるのと同じだ。けだものを躾るには、過多の愛情で串刺しにし、牙を抜いてしまえばいい。
親子はどちらも油断しきっていた。熱に重い身体を胡座の上から下ろし、目の前の肩に腕をかける。空になったアナルの喪失感にぶるりと震えつつ、体重をかけてのし掛かれば、彰は呆気なく敷き布団に押し倒された。
「好きなものは、最後まで残しておくんだってね」
当惑と期待で息を潜める少年のペニスを後ろ手に掴む。びくびくと脈動する、火傷しそうな肉の温度を手のひらへ感じれば、もう我慢など出来なかった。
「いいよ。一番おいしいところをあげる」
下準備は甘いし、父親に似てご立派なものをお持ちだ。重力に従って飲み込むにしても、拡張感はかなり強い。
内股を震わす緊張に気付かなかったのか、或いは単に我慢出来なかったのかも知れない。ぐっと歯を食い縛ると、彰は揺れる腰を両手で掴んだ。そのまま力任せに引きずり下ろされるのは、いっそ覚悟がついて有り難い。
丸い鬼頭が思い切り前立腺を抉り、その先までごりりと掘削する感触。目の奥で散った白い火花が、全てを染め変える。腰骨を砕きそうな強い指の力、畳のささくれへ食い込む足の爪先。痛みすらも飲み込んで無に帰す圧倒的な感覚に、息がおぼつかない。
ゆらりと背後で動いた気配へ意識を集中させる暇はなかった、気付けば立ち上がっていた達夫が、顔を逆さまに覗き込んでいる。
「しょうがねえな。『一番』は譲ってやるよ」
喉元を滑る手付きの柔らかさと裏腹、薄く開いた口元へ押し込み、奥歯からこじ開ける親指は強引だった。湧き出る唾液で熱くぬかるんだ口腔から、上気道まで一直線になるよう、仰け反らせる体勢を取らせることを、達夫は一切躊躇しない。少し無理な課題の方が、譲治を興奮させることが出来ると知る程度に、身体を重ねている。
舌に触れたペニスが完全な状態であることに、譲治は至極満足した。拗ねてしまうのは子供ばかりだ。
「ひどい」
彰は譲治が初めて聞いた、ひどく鼻へ掛かった声でそう口にする。「まあまあ」と、垂直に腰を落としながら、達夫は気味が悪いほど穏やかに答えた。
「世間なんてそんなもんさ。これで一つ賢くなったろ」
咽頭と、直腸の先の曲がり角を同時に撓められ、譲治は上げられない悲鳴の代わりに、理性を投げ捨てた。
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