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アルバムをなぞる指先の決断17
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検査の結果。
脳に異常は見られず、原因は不明で、事故のショックによる後退記憶の可能性があるとのことだった。
18才の神さんは、父親の再婚も分かっていたので、蘭さんたちの事も知っていた。
ただ、18才の時といえば、蘭さんたちと出会って間もないし、神さんからすれば、一晩寝たら妹や弟たちが10才以上歳をとって結婚して子供もいるからかなりパニックになっていた。
でも、神さんが意識を取り戻したと聞いて、先ほど新幹線に乗った弟夫婦が飛んで戻ってきて、そこの甥っ子3歳が、小さな小さな手で神さんの手を握りしめ「神おいちゃんおっきしたぁ?また遊んでくえう?」と舌ったらずにつぶらな瞳で見つめるもんだから、最初は戸惑いでオロオロしていたけど、小さな小さな甥っ子に応えるように、「うん、遊ぼうな」と、神さんの人差し指を握りしめる小さな小さな手を優しく握り返した。
それからは、少し落ち着いた様子で、現在の状況や自分の生活について聞いたりしてた。
賢史さんと栞さんのことは知っていて。
僕と矢田さんのことは出会う前なので記憶がない。
僕のことは、覚えてないし、恋人だと聞かされても信じられないって言うばかり。
祖母「神、あんた本当にマキちゃんのこと思い出せないの?」
百目鬼「そんなこと言われてもな、ばあちゃん。目が覚めたらいきなり12年後とか言われてただでさえ頭がおっつかねぇのに、…ッ…結婚相手だなんて…ッ」
祖母「良かったじゃないの、あんたには勿体無いくらいのべっぴんさんじゃないの」
百目鬼「いやいや、いきなり知らない奴を結婚相手だとか言われても、ってか、ハーフ?外人?、つーかばあちゃんばあちゃん」
百目鬼は小さく手招きして、祖母に何やら耳打ちするが、祖母はそんなことお構い無しにバラす。
祖母「やだわ♡神たらぁ!『こんな美人が俺の相手なわけないだろ』ですってぇ!記憶が無くても好みって変わらないのねぇ」
ついさっきまで寝込みそうなほど体調を崩していたおばあちゃんは、嘘みたいに元気になってケラケラ笑ってる。
おばあちゃんと神さんの家族の会話を垣間見たようで、なんだかドキドキしちゃう。
普段の神さんより18歳の神さんは砕けた喋り方。
12年前の神さんは、こんな風だったんだと思うと、なんだかくすぐったい気持ちになる。
今の神さんは高校三年生の18歳。
神さんが同じ学校の先輩か同級生だったらどうなってたかなぁって想像したことはあっても、まさか歳下になるなんて想像したことなかった…
アルバムの中の神さんを思い出し、毎日眠る前に子守唄のように聞かせてもらった神さんの学生時代の話。
年下の神さんかぁ…、ふふふっ…
賢史「おい、マキ…」
僕の隣で不機嫌な賢史さん。
賢史「お前はどうしてそう笑ってられるんだ」
マキ「え?♪、ウフ♡♪、18歳の神さんは可愛くなぁい?♪」
賢史「神はお前のこと忘れてるんだぞ」
マキ「うん、お医者さんの説明聞いたから知ってるぅ。やっぱ後退記憶だったねぇ」
賢史「……お前、やだを見習え」
矢田さんは、百目鬼さんに忘れられてしまったと知ると大号泣して騒ぐので、賢史さんにまたまた追い出された。
今回ばかりはちょっと可哀想だけどね。
兎に角、記憶は後退してしまったけど、意識を取り戻した神さんは、翌日に色々診てもらった結果、その他の検査結果も異常はなく。
擦り傷と打撲以外は、足の骨折だけ。
意識を取り戻した事もあって、自宅のある周辺の病院に転院の許可が降りた。
祖母「神、まだマキちゃんのこと思い出さないのぉ?」
百目鬼「ばあちゃん、それ、昨日から分刻みで聞いてきてるから」
祖母「だっておかしいじゃない、昏睡状態の時は分刻みで『マキ、マキ』って泣きながら呼んでたのに」
百目鬼「なッ!?ッ…く訳…ねぇ…、昏睡してて分刻みな訳ねぇだろ」
祖母「でも、呼んでたのよ。マキぃマキぃって何度も何度も、ホント大好きなのねぇマキちゃんのこと」
百目鬼「…勘弁してくれ…」
…僕も、勘弁してほしい。
これ以上聞いてたら僕も茹で上がりそうです。
祖母「でも、あんたはマキちゃん来たから起きれたのよ。それまでばあちゃんが何度呼んでも起きかなったんだから、…………何度も…何度も…」
思い出して涙ぐみ出したおばあちゃんを見て、神さんは痛む身体を起こして、おばあちゃんの居る側のベットのヘリから手を伸ばし、おばあちゃんの手を握りしめた。
百目鬼「ごめんばあちゃん…ごめん」
苦悶に眉間にしわを寄せ、おばあちゃんの手を優しく握る神さん。
おばあちゃんと神さんの会話を聞いてると。僕の神さんがいかにして出来上がったのかを見てるようで胸の中がきゅっと締め付けられる。
心配性の優しい優しい神さんは、おばあちゃんと一緒にいたからそうなったのかな?
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