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8日目 ゆうすけ
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つーか、幽霊って泣くんだ。
幽霊つーか、ヒロって泣くんだ。
死んだ人間の涙浴びながら寝た人間って俺ぐらいなんじゃね。
なんも考えてないバカだとおもってたけど、なんも考えてねぇバカが嘘つきなわけねぇよな。そんな人間いねぇよな。明るく振舞ってるだけなんだ。こいつに至っては、それが当たり前なんだ。
俺って実は涙脆くてだな、アニマルビデオとかで泣いてしまうタイプなんだよ。恥ずかしいからそんな事絶対言わねぇけど。
昨日、顔面にぽたぽた落ちてきた涙に、こっちまで泣きそうになった。幽霊に情なんてこれっぽっちも移ったことねぇけど、なんでかこいつは別だ。
涙からこいつの悲しみが俺に流れこんできたようだった。
伝わってきた悲しみが、深すぎた。
「おい、ホンダ」
「はぁい。もう寝るんでしょ?電気消すよー」
「来い」
「…はい?」
布団をめくってぽんぽんとベッドの上を叩いて横に来るようにいうと、意味がわからないといった顔をされた。
俺だって意味がわからないよ、なにしてるんだ俺は。もうあと40日ぐらいで消滅する奴に情なんて移してどうする。どうでもよかったんじゃないのかよ、どうでも、…
「また涙浴びながら寝るのはごめんなんだよ。早くこい」
「……人肌寂しくなっちゃったー?」
「そりゃお前のことだろ!」
仕方ないなぁ、っていいながら布団をすり抜けてベッドの中に入ってきた幽霊。あ、なんかこいつが傍にいたら霊気で涼しいわ。
「お前、クーラー代わりになるね」
「だからー霊の使い道間違ってるよ、キミ」
「…やっぱ、触れねぇな」
霊は視えても霊は触れない。
もどかしい。
無機物には触れられるくせに、人間には触れられない。それってどういう気持ちなの。
「いやん、えっち、ナニする気だったの!」
「シネ、くたばれオカマ」
「オカマ?!オカマではない!断じて!ねぇちょっと聞いてる?ねぇってば!」
おやすみ、お前も早く本当に眠れるといいな。
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