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あいつに見せて俺に見せないもの
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「じゃ、会長っ!放課後また来ますから!
ちゃんと生徒会全員集めておいて下さいねっ!」
「はいはい、分かったからもう少し静かに」
「ふふっ❤︎はーい❤︎」
やたらと声を張って、
舞園は出て行った。
「お、俺もそろそろ戻ります」
「ん、また放課後ね?」
新も浅く礼を済まして
生徒会室を出て行く。
「・・・・」
「・・・・」
樹と二人きり。
話したいことは山ほどあるけど、
今はさっきの新と樹が何を話していたかが気になる。
「俺も、もう戻るわ」
黙ったままの樹にそう言って
俺も生徒会室を出ようとした。
「成海。」
すると、後ろから樹が声を掛ける
扉に手を掛けたところで俺は一度動きを止めた
「分かってると思うけど。僕、本気だから。」
樹は、にこりと笑ってそう言った。
その言葉に、俺の心に歪が生まれる。
焦りにも似た感情が込み上げる
「じゃ、また放課後ね」
「・・・ああ」
でも、今は何も言い返せない。
本気だからなんだよ。と言いたかった
新は俺のものだって言いたかった
俺だって本気だ。
マジになんねえと、新は俺を見てくれない。
俺自身、欠けた部分があり過ぎる。
樹の本気がどれくらいなのか分からないけど、
それを超えるほどに、自分自身を
変えていかなくちゃならねえ。
「・・・新」
でも、俺はあいつより
絶対に、お前を好きな気持ちは負けない
必ず振り向かせる
そう考え込みながら廊下を歩いていると、
やたらと陽気にスキップをしながら歩く
先程の舞園を見かけ、俺は声を掛けた
「おい、赤メガネ」
「ほえ?」
ぴたりと足を止めて、舞園は振り向いた
「副会長?どうしたんですか?」
急に引き止められて、
舞園は少し不思議そうな顔をした
「あんた、いつから生徒会室に居た?」
「え?」
こんな事、他人から聞くべきじゃないけど
今の俺にはそんな余裕がない。
二人の間に何があったのか
少しでもいいから知りたい
「書記君が入った時に一緒に入りましたよ?」
「は?」
元々あそこに居たんじゃねえの?
「でも、なんだか二人が大事なお話を始めたので
そのまま隠れちゃいました❤︎」
忍びか。どんな忍術だよそれ。
なんで新気づかなかったんだよ。
「それがどうかしたんですか?」
「いや・・・」
新と一緒に入ったって事は、
二人が何をしてたのかも知ってるって事だよな?
「樹と新。何話してた?」
「へ?」
だめだ。やっぱ聞くべきじゃねえよな。
新に直接聞くか?
いや、俺が入っていい話じゃねえのかもしれない
そもそも、俺が聞く事じゃない。
「やっぱいい。
さっき俺が聞いた事、忘れて」
かっこ悪・・・
何してんだ俺は
コソコソ裏で探るような真似
「副会長っ!」
「?」
あの張りのある高い声で呼ばれ、
いきなり舞園は俺の眉間に指を当ててきた
「そんな恐い顔しないで下さい!
シワ、出来ちゃいますよ?」
にこりと笑ってそう言ったあと、
舞園は俺から離れて、教室に戻ろうとした
「あ、そうだ。
ひとつ教えてあげます。」
俺に背中を向けて、
舞園は少し低めの声でそう言う
「書記君。いい顔してましたよ」
「!?」
やがて、満面の笑みで振り返り
その言葉を落として行った
・・・いい顔
その言葉が胸に引っかかる。
色んな新を見てきたけど、
いい顔とは、どれの事を指すんだろう。
恥ずかしくて照れる顔?
怒って拗ねる顔?
笑顔?泣き顔?困り顔?
「・・・っ」
好きな奴に・・・向ける顔
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