アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
january.13.2016 トアの一念発起
-
「というわけで、3月の最終週から放映される番組にミツが登場することになった。」
高村さんは再生を終えたノートパソコンをパタンと閉じてニヤリと笑った。勿論僕は「はわわわ。」状態で何が起こっているんだ?どういうことだ?がグルグル頭の中でまわっています。
「俺もちょっと映ってる。機械を通すと俺の声ってこんなか。もっといい声のはずなのにさ。」
「僕が聞いているのと同じ声です。」
「え~俺の素敵ボイスがこんな声でハルに聞こえてるのか!ショック!」
いつもならハハハと一緒に笑える楽しい会話にも笑えません。SABUROの宣材資料として店内を撮影するっていうのは聞きましたが、こんなことになっておりまして、僕的には怖ろしい一大事です。
「テストで撮ってみたら、思いのほかいい出来でな。スポンサーも気に入ったらしいし、ちゃんとミツがあげた映画のDVDが商品にあったのもよかった。局側もこういうテイストのコーナーはなかったし、スポンサーに媚び売ってる感じがないと好評だった。なのでこれをしょっぱなに使うことになった。
ちなみに脚本は西山。」
「西山・・・さんが?」
「そうだ。『トアファン第一号』らしくいい雰囲気だろう?このテイストを思いついたのは理。」
「理さん!」
サル・・・恐るべし。そのニッコリはナンデスカ。してやったり、うしししのニッコリですか!
「僕は後ろ姿だけです。いいですね~トアさん。」
「いえいえ、ハルさん。次の回からばくりっこしてください。僕がクローズ係をやります。」
「だめですよ~僕はまだエンタメ見習いですから。」
なんということだ。こんなことならもっとスパルタでエンタメ部員にしておくんだった。
「ミツ。次から映画はスポンサーから降りてくる。見てない映画がラインナップされる可能性があるから、その時は予習が必要だな。お題になった映画からミツがイメージするキーワードをくれれば問題ないと西山が言っている。今回であれば「女子力」がそのキーワードだ。前後のモノローグとストーリーは西山が全部書くから、ミツはエンタメ話をウキウキすればいい。難しいことじゃないだろ?いつものミツのままでいればいいだけだ。」
「ウキウキ・・・ですか。」
「そ、西山はノリノリだ。」
高村さんはパソコンをケースにしまいカバンに突っ込んだ。どうやらこれだけを見せるために中休み時間に参上したらしい。
「飯塚さん、次を担当してくれませんか?」
「ん?俺は毎回道具を手入れする役に決まっているらしい。」
「道具・・・ですか。」
理さんがまたもやニッコリ。
「そ、衛は次回鍋の底を磨く設定に決まっている。」
「たぶん・・・僕のせいで、この企画は打ち切りになりますよ。絶対です、そんな自信満々です。」
「トアが自信満々でも決めるのは視聴者だしね。撮影協力でSABUROはクレジットされるけど、店の情報は会話にはいっさいでてこないんだ。れっきとしたスポンサーがいるからね。
俺のアイディアがけっこう盛り込まれていて、充さんが捻じ込んだ。今のところ関係者には好評だし、一回目の放映でレンタルの実績が伸びれば打ち切りってことはないと思うな~。」
「うううう・・・。」
「レンタル界のミニシアターを自認しているレンタe-zoだから、大手と違うという企業イメージ戦略が乗っかっている。ちょっと通好みなテイストに仕上がった、いい映像だと思うよ。
街なかで声を掛けられたりするかもよ?「好きです!トアさん!」そんなファンができて・・・ついに彼女ができたりとか、いい事だらけじゃないか。」
「彼女・・・ですか。」
「可能性は大いにありますよ。僕なんか後姿と後頭部でせっかくのかわいい顔が見えていません。
次は隙をみて振り向いちゃおうかな。後ずさりでドアまで行って映りまくろうかな。」
「・・・ハルさん。」
「撮影協力の立場なんだから、勝手はだめだよ。わかった?正明。」
「は~い。」
「トア、思う所は色々あるだろう。でもオーナーとしてはこのチャンスを無駄にしたくないわけ。おおっぴらに店の名前がでるわけじゃないけど、テレビに定期的に露出する効果は大きいと思うんだよね。
トアの頑張りでお客さんが増えるかもしれない。俺達がカバーできるのはチョイ役しかないけど頑張ってくれないかな。俺からのお願い。」
「ミネさん・・・。」
ミネさんにこう言われてしまえば、僕に何がいえるでしょうか。
言えませんよね。
「僕がお役に立てることがあるのなら、するべきなのは理解できます。そうしたいと思います。でも大丈夫でしょうか。撮影です!なんてカメラが現れたらカチンコチンになりそうです。
超棒読みが目に浮かぶ・・・ああああ。」
「それは充さんと俺で何か方法を考えるよ。」
サルと魔道士が結託。
僕はどうなってしまうのか?まな板の上のコイとはまさにこれ。
まさかの展開・・・。
「トアの為の構想はまだあるんだ。」
サル・・・どんな企みをしているのですか。
「レンタe-zoのHPか局のHPにトアのコーナーをつくる企画を打診中。映画感想文的なコラムをのせようっていうのが大筋。ボンヤリ見ていて映画のタイトルを忘れちゃった視聴者が調べることができるし、そのコーナーを見ればトアのおススメがわかる仕組みだよ。
念願の作家に近づけるかもしれないよ。」
「え・・・。」
「ある程度まとまった量になったら本にしませんか?とか」
「本!」
「映画祭にご招待されたり?」
「映画祭!」
ああ・・いけない。御サルさんに絆されてしまうううう!!
「僕なりに・・・頑張ります。」
「さすがトア、宜しくお願いしま~~す。」
してやられた感は否めません・・・が、僕にとっての変化の年になる予感が満ち満ちております。
波にのるのも据え膳喰らうのも男の役目!(何か違う気もしますが・・・)
重光稔明!一念発起!
今年の僕はちょっと違う男になりますから、皆さん応援よろしくお願いいたします!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
165 / 474