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夢の時間、光るキス
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◇
「はい、行ってこい」
「うん」
慣れた手付きで運転をする直輝に見惚れて居たらあっという間に職場に着いた。
名残り惜しくて繋がれた手を離せない。離した後に何処かまた行っちゃったらどうしようって思ったら困らせてるの分かっているのに目が熱くなって鼻の奥がツンとする。
帰ってきてからひたすら甘くて優しい直輝にぐずりたくて俯いて居たらふわりと頭を撫でられた。
「祥? あんまり我侭言ってたら犯しちゃうよ?」
「えっ?!」
「俺も結構我慢してんだよね。 だからいつまでも我侭言うならここで犯すから、それでもいい?」
「っ、やだ!」
「あっそ。 でも止めな〜い」
「え、っへ、ちょ! ダメだって……!」
ガタンっ、と背もたれが倒されて気づけばリクライニングを操作した直輝が俺に覆いかぶさっている。
スルリとニットの中へ大きくて温かい手が侵入してきて、ゾワゾワと体を震わせながらもがくと必死になって車から脱出した。
ぜーはーぜーはー息を繰り返して睨みつけるといつもと何ら変わらない飄々とした笑みを浮かべた直輝がヒラヒラ手を振っていた。
ムカつく。まんまと乗せられた……
「ば、ッバカ!」
「はいはい、行ってらっしゃい〜」
「もう! 知らないからな!」
「あっそ。 じゃあな駄々っ子しょーちゃん」
「あっ」
ムッとして八つ当たりすれば直輝は一つ鼻で笑って颯爽と車を発進させてしまう。直ぐに消えて行ってしまう車を見つめるとまた涙が出そうになって、でもあのまま居たら俺が行けないから直輝が分かってて行ってくれたのとかそう言うのも全部分かっちゃって、尚更胸が痛くて痺れてチクチクする。
「……早く仕事終わらせよ」
もう何回目か、ゴシゴシと目を擦る。
道具箱と仕事バックを肩に掲げ直すと現場へと向かった。
*
「今日凄い早く終わりましたね」
「本当にね、でも次雑誌の撮影があってこのまま移動何ですよ」
「えー! 頑張ってくださいね、お疲れさまです」
沢山念じたお陰で見事に仕事は予定を早回って無事終了。ソワソワして早く直輝に連絡する為携帯を開けば連絡が先に入っていた。
『仕事終わったら舞波駅に13時な』
場所と時間の指定だけの短い内容。黒しかなくて顔文字も絵文字も何も無いけど携帯を触らない直輝から連絡が来ただけでも充分嬉しくて急いで返事を返した。
その後来た返信には早く終わったから待ち合わせ時間も早めようって事になって12時前には舞波駅で待ち合わせだ。
大きな荷物を持って移動するのが億劫で一度事務所に戻って荷物を置く事にした。
「おはようございます」
「おはよ〜」
事務所を覗けば今日は男の格好をしている怜さん一人だけ。
そそくさと荷物をロッカーに仕舞うと鏡をじぃっと見て持ってきたピアスを付ける。
最後におかしいところが無いかチェックをして振り返ろうとした時、ガシッとお尻を鷲掴みにされた。
「ヒッ!」
「ちょ〜っと祥」
「れ、怜さんっ」
「あんた何フェロモン振り撒いてんのよ」
「フェロモンって……そんなの無いです」
「嘘ね。 あんた昨日エッチなことしたわね」
「ーーッ?!」
「やっぱり? て事は噂の彼が帰ってきたのか浮気かどっちか?」
「浮気なんてしません」
「そんな怒らないの〜やだやだ〜」
ニヤニヤ嬉しそうに鏡の中で笑いかけてくる怜さんの手を退かす。
振り払う迄ひたすら揉み続けるんだからいい加減セクハラだ。
「あんた明日休みでいいわよ」
「え?!」
「だーから休めって言ってんの」
「いやでも仕事」
「いいわよ別に。 あんたが居なくても他に手は沢山あるんだからね〜。 それにたまには自分の為に時間を使いなさい」
「れ、怜さんっ!」
悪いなぁとは思っても嬉しい。
思わず嬉々とした声が上がった。
再びデスクに戻る怜さんを追いかけると思わず手を握って何度もお礼を伝える。
「怜さんありがとうございます! 初めて怜さんに感謝しました!」
「んふふっ、ぶち犯すわよ〜」
「ダメです、直輝のですから俺の」
「さらっと惚気ちゃって、孕ませるわよ?」
「あははっ」
ニコニコ笑ったままおぞましい言葉を言われたけど気にしない。
構わずキレている怜さんに抱きついて、何度も本当にありがとうって伝えたら、優しく頭を撫でられた。
「ほらさっさと例の彼ん所行って来なさい」
「はい!」
こう言う時、お兄ちゃんみたいだと改めて思う。
怜さんは節操なしだけど、でも凄い落ち着く。何だか優しい顔をして見送ってくれる怜さんに嬉しくて手を大きく振って事務所を後にすると真っ直ぐ舞波駅に向かった。
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