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【番外編】 小栗雅治の独白 13
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「おー!オグ久しぶり!元気だったか?」
「ん。ぼちぼち。ヤマは?」
「今日の俺は、コンディション完璧よ?」
12月30日。
恒例の、ヤマとの飲み会。
と言っても、今回は合コン。
ヤマと駅で待ち合わせをして、今日の会場となる店へと向かう。
「ところでオグは?今日はどんな予定?」
「ま、どっちかアリな感じだったら…たぶん消えるから」
お持ち帰りって事で。
「アリって?オグが?」
「向こうが」
「まぁ、オグ相手ならOKしない女の方が珍しいデショ。てか何?今日は投げやり?」
「はは。まー…とにかく適当なカンジで」
ヤマは俺を変な目で見た。
ぶっちゃけ…それなりの女ならどんな子でも良い。
そんな事を思っていた。
待ち合わせの居酒屋は、掘りごたつの半個室で、いかにもコンパ向けの空間だった。
女性二人はすでに席に座っていた。
俺とヤマを見て、嬉しそうに微笑む。
ヤマは見た目が爽やかで、スポーツマン体型だ。
例えるなら韓流俳優のような感じで、女性ウケはかなり良い。
合コンはヤマのペースで明るく進んでいった。
女性二人の仕事はCAらしい。
片方は元ミス◯◯という話通り、かなりレベルが高いと思う。
もう一人の方も、かなり良い女だ。
なのに…何故だろう。
全然テンションが上がらない。
今までは気にした事もない、香水か何かの甘ったるい香りに頭が痛くなった。
途中で席を移動して、元ミスの方が俺の隣に座った。
ヤマが俺に目配せをする。
どうやら、ヤマはこのペアで進めたいらしい。
隣から俺に媚びるような視線が来る。
微笑みかけると、満足そうに笑う。
…違う。
俺が欲しいのは、そんな笑顔じゃない。
なんて事が頭を掠めて、気分が萎える。
待て…俺は何を考えてんだ…
ただ、身体のラインが出た綺麗なワンピースに身を包んだ彼女は、とても柔らかそうだ。
たまにさりげなくボディタッチをして来る彼女。
分かりやすい…「アリ」だな。
この店を出たらどこかに連れ込もうと、そう思った。
いい時間になってから、ヤマが二件目をどうするかと俺に聞いてきた。
二件目なんて、もう面倒臭い。
それぞれ別れて行動しよう、と言おうとした時。
隣の彼女が俺の手の上にそっと手を重ねてきた。
白くて細くて女性らしい柔らかい手。
なのに…
また、違うと思ってしまった。
この手じゃない。
求めているのは、こんな温もりじゃない。
そう思ったら、身体から熱が一気に引いた。
「あー…申し訳ないけど、今日はもう帰るよ」
口からさらりとその言葉が出た。
…馬鹿だな。俺は。
「えっ⁈なんで⁈」
ヤマが驚いた顔を見せた。
まあ、昔の俺なら、こんな風に抜けたりしない。
隣の女性が、俺の真意を探るように手をギュッと握ってきた。
不快だ。
違うよ。お前と帰るんじゃないよ。
と言う意味を込めて、顔も見ずに手を払った。
なんとか女達を振り切って、一人で駅に向かって歩いていたら、後ろから突然肩を掴まれた。
とっさにその手を取って捻ろうとするも、逆に手を取られて後ろから固められた。
「ッチ。ヤマ…お前、あの子はどうした?」
振り返ると、ヘラヘラと笑うヤマが一人で立っていた。
ヤマは俺より強い。
普段こうやってヘラヘラしているのが仮の姿のように思える。
「んー?オグの様子が気になって。なんか、こっちの方が面白そうじゃん?」
「は?」
「だって珍しいじゃん?途中までお持ち帰りコースかと思ってたけど?よっぽどなんかあったんだろ?」
ヤマがニヤニヤしながら俺の肩を組んできた。
「…いや…特に」
「ふーん。とりあえず、どっか入ろーぜ!」
そう言って、近くのバーまで引きずられた。
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