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その理由 …2
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ラジオから流れる、今流行りの曲を聞き流しながら、雅治さんの様子を伺う。
二宮課長さんと…二人で食事に行ったのがダメだったのかな?
そう言われれば、あの後から様子がおかしい。
でも、あれは不可効力と言うか…仕事の延長だったし、たまたま二人になっただけだから、仕方なかったと言うか。
あぁ…
もしかしたら、雅治さんもそれを分かってるから、俺に何も言えないのかも知れない。
本当は嫌だったけど、言ってどうこうなるもんじゃないから、言わない。
雅治さん、仕事とプライベートは完全に分けたいみたいだし…
だからこそ、そこに私情を持ち込んで、俺に物申すとかしたくないのかも?
言われたら、俺も多少なりとも二宮課長さんとギクシャクするだろうし…
なんてことを思った。
あと気になるのは、雅治さんがポツリと言った「初めての感情」
これは、どういうことだろう?
こういう種類のヤキモチを、妬いたことがないとか?
……まさかね。
こういう時どうしたらいいか分からないっていうのは、会社にいる時とか、人前でって事だよね?
言われてみれば、社内恋愛みたいな今の俺たち。
確かに難しくて、俺もどうしていいか分からないもん。
松井さんの時に、そう言うもどかしさは十分に体験したから。
でも…松井さんと二宮課長さんでは、状況が全然違う。
そこで、ふと思った疑問をぶつけてみた。
「あの…。雅治さんって、二宮さんのこと、嫌いなの?」
「え?…いや、そんなんじゃないよ」
あれ?
そうなんだ?
「でも…その……二人でご飯行って、ごめんなさい」
「いや、あれは陸が謝ることじゃないし……あの人は、誰でも食事に誘うらしいから…」
そう言って、雅治さんはまた黙ってしまった。
二宮さんにヤキモチ?って聞こうかと思ったけど…今そうやって茶化したら、真面目な雅治さんのプライドを傷付けてしまいそうな気がして、言えなかった。
二宮課長さんの事、雅治さんは本当は嫌いだとしても、俺からは切れない縁。
近づくなと言われても…無理。
雅治さんも、それを分かって、戸惑ってるのかも知れないと思った。
だからこそ、会社では出来ない分…イチャイチャしたいのかな?って。
そんな事をなんとなく思って、握っていた雅治さんの手を引き寄せて、甲にキスをした。
「それ…キモチイイ」
雅治さんがそんな事を言うから…
チュ、チュと指一本一本にキスをした。
雅治さんがピクリと反応したのを見て、何だか嬉しくなる。
欲しい。
あなたが欲しい。
そして、こんな俺をあげるのは、あなただけ。
雅治さんの手の甲に頬ずりすると、チラ、と目だけ俺に向けた雅治さんが「陸、さっきから煽りすぎ」と言った。
「俺は、雅治さんだけだよ?」
心に浮かんだ通りにそう言うと、恥ずかしそうに雅治さんが笑った。
笑ってくれたから大丈夫って、その時は思ったけど…
雅治さんは、実は他に心配してることがあったんだって、俺は後から知ることになる。
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