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マズい …1
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その日の20時頃…
俺は作業ルームで、データを取得してまとめる作業を一人でやっていた。
金曜日の夜だからか?いつもより作業ルームに人の姿はない。
さて、あと少しで終わりそうって時に、後ろから声を掛けられた。
「お疲れ様」
「あっ!ま…小栗さん!お疲れ様です!」
雅治さんが来てくれた!
ちょっと、疲れ顔だ…
「どう?今日も遅いの?」
「えっと…今日はもう少しで終わります。…小栗さんも遅いんですか?」
「今日は、俺も後一時間くらい…かな?…明日、出社になったから」
そう言いながら、苦笑いをした。
「えっ?…あ、あの、そう言えば、出張って…」
「あぁ。今回は愛知だよ。月曜日移動で…実際のところ、どのくらいかかるか検討がつかない。向こうからは、立ち上げ…今月いっぱい見て欲しいって言われてるんだけど…」
「えっ⁈」
今月いっぱい?
そんな…急に…
「いや、今はこっちのジョブがメインだからね。何とか片付けて、早めに帰ってくるよ」
「そう、ですか…」
その時、雅治さんの胸ポケットの携帯が震えた。
「あー…ごめん。呼び出し……それじゃ」
「あ!はい!」
雅治さんが、携帯を耳に当てながら(あとで)と俺に向かって口を動かした。
その行動に心がほっこりして、思わず微笑んだ。
雅治さんの背中を見送って、モニターに向き直ろうとした時だった…
「佐藤くん、調子はどう?」
ドキッ!として横を見ると、いつの間にか二宮課長さんが立っていた。
ここは、マシンや空調の音がうるさいから、人の気配に気付きにくい。
「あ、二宮さん。お疲れ様です!えーと、今日の分のデータは取り終わりました。今、まとめているところです」
「そう。お疲れ様。思ったよりも順調そうで良かったよ。…今、佐々木さんと話して来たんだけど、来週から、プログラムを一つにまとめて、最終確認に移ろう」
「あ、はい!」
二宮課長さんが、俺の隣に立って、モニターに目をやった。
「この調子だと、納品前倒し出来るかな?」
「うーん。そうできるように、頑張ります」
「はは!頼もしいね。…ところで、それ、あとどれくらいで終わる?」
突然、話が変わったので、ドキリとした。
「え?…あ、1時間もかからないと思います…」
「そう。頑張ってね!…あ、続けていいよ?」
終わる時間を聞かれて、また食事でも誘われるのかな⁈と身構えたけど、どうやら違うらしい。
…ホッとしてモニターに目を移した時だった。
「佐藤くんってさー…彼のこと、気になるの?」
「……え?」
急に話が変な方向に行ったので、何のことか分からなかった。
首をかしげる俺に、二宮課長さんは続ける。
「無自覚?…いや、俺なんかには言えないか。でも、何かすごく気になっちゃって。ごめんね?」
「はぁ…」
二宮課長さんが、眉を下げて笑う。
「昼休み…小栗が来た時。佐藤くん、同じ顔してたからさ…」
昼休み?同じ顔?
「松井さんと」
…………。
思考回路が、一瞬停止した。
同じ顔してた?
松井さんと?
…えっ⁈
それって…つまり…
「佐藤くんも、小栗のこと、気になってるのかなぁ?って思って」
二宮課長さんが笑顔のまま、そう言った。
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