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路地 …2
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通り過ぎる人達が、立ち止まっている俺たちを、邪魔だと言わんばかりに振り返って行く。
あぁ…
俺、どうしたら良いんだろう?
どうすべき?
目の前の、二宮課長さんは…本当に苦しそうに顔を歪めている。
多分、俺と二人で飲んだ後も、俺と河野さんのことで悩んだんだろう。
何せ、あの時、途中で河野さんが来たんだから。
好きな人が、なかなか自分に振り向いてくれない辛さ。
他に仲の良い異性がいると知った時の辛さ。
俺も、そういう恋を知らない訳じゃないから、その辛さがなんとなく分かる。
あぁ…
とりあえず、落ち込んでる酔っ払いの二宮課長さんをどうにかしないと。
「あの…俺の考えですけど…河野さんは俺を男として意識してないと思います。二宮さんの言う通り、女友達と近いのかも、しれません」
二宮課長さんが、俺を見た。
女友達、だなんて…
もう俺が「女」だって、好きなのは男なんだって認めているように聞こえるかも知れない。
でも、二宮課長さんは、最初から俺が雅治さんを、好きなことを見抜いていたみたいだし…
誤魔化すよりハッキリ言った方が、すぐに解放されると…二宮課長さんも立ち直ってくれると思った。
「だから、俺にヤキモチ妬く必要なんてないですよ。大丈夫です。それに、先日思ったんですけど、二宮課長さんと河野さんて、何か良いコンビに見えましたよ」
安心させるように笑ってみせると、俺を見る二宮課長さんの瞳が揺れた気がした。
「佐藤くんって、何か、不思議な子だね」
そう言って、再び腕を引かれた。
「あ、あのっ⁈」
二宮課長さんは、すぐそばの、全く人気のない小道に俺を引き込んだ。
街灯はほとんどなく、二宮課長さんの表情を見ることも難しい。
「佐藤くんって、すごくイイよね。優しくて、可愛くて…」
立ち止まると、俺との距離を縮めてきた。
「なんだろう…男の俺でも、落ちてしまいそうだよ」
「っ!」
その目は、まるで獣の目。
ヤバい。
今の状況、確実にヤバい。
この時になって、俺はやっと自分の状況が危うい事に気付いた。
「ねぇ?佐藤くんは…男とキスした事、ある?」
その言葉に、サーっと血の気が引く。
「ちょっ!ちょっ!二宮さん⁈何言ってんですか⁈酔い過ぎですよ!俺は、男が好きって言うか…。あー。てゆーか!その辺は普通に女がイイです!ハイ!」
「男が好きなんじゃないの?…あぁー…小栗は特別ってことかな?」
「あの…それは…っ。と、とりあえず、手を離してください!」
腕を振り払おうとしたけど、意外と力が強くて腕を外せない。
「あー…ほんと俺、酔い過ぎなのかも」
そう言って、目を細めた。
「俺さ、河野に誓って、もう遊ばないって決めたんだぁ。それまでは、結構好きに遊んでたんだけどね…」
二宮課長さんが、何かを思い出すように、遠くを見る。
「今は…セックスはもちろん、そう言うお姉ちゃんのいる店にも行ってないし、キスすら何年もしてないよ。…迫られても、断るくらいだし?」
二宮課長さんが距離を詰めるので、後ろに後ずさりしていたら、背中がトンッと壁についた。
ヤバい、ヤバい。
「ずっと、我慢してたのに…なんでだろうね?佐藤くんの優しさにもっと甘えたい。…もっと佐藤くんの別の顔が見たい、って思っちゃうんだ」
空いている手で、顎を掴まれた。
「あぁ、キス、してぇなぁ…」
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