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【番外編】岡本賢治の葛藤 …8
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「一次会はどこ行った?」
「んーとね、手羽先の美味しい店だったよ!ね?オカなんて、10本以上食べてたよね」
「え?さとちんも結構食ってたじゃん!」
「あはは!そうだっけ?でもとにかく美味しかったよね!小栗さんも今度行こうよ」
「あぁ、いいね。手羽先…ビール飲みたくなってくる」
「あー、ごめんなさい。飲まずに…わざわざ迎えに来てもらって…」
「いや、いいよ。俺が迎えに来たかったんだし」
「ん。ありがと。…帰ったら飲む?」
うをー!!
なにこのラブラブ感!
フツーのカップルみたいじゃん!
あれ?
みたい、じゃなくて、カップルだった。
あー…
さっき、マスターに言われたことを思い出す。
"佐藤くんは佐藤くん"
分かってる。
つもり…
"岡本くん、佐藤くんの友達だよね?"
ったりめーじゃん?
俺はさとちんのこと親友だと思ってるよ。
だからこそ心配なんじゃん?
世間から見たら認められにくい二人のこと、心配するに決まってんだろ!
そうだよ!
世間の目はキビシーんだから!
…はた、と今自分が変な事を考えた、と思った。
世間の目?
俺は…さとちんの友達だ。
そうだ。
その俺が、"世間一般"の代表みたいなこと、何で考えてるんだろーか。
友達だから…友達だからこそ、それ抜きで二人の事を見るべきなんじゃないか?
二人に対する厳しい目は、俺が向けなくても、必ずどこかで付いて回るだろう。
そんな時、俺は?
そんな奴らと同じ目をさとちんに向けるのか?
…答えは、否、だ。
さとちんの味方をするのが、友達だろう?
ほら、前の二人、見てみろよ。
ただ、幸せそうな二人じゃないか。
犯罪を犯しているわけでも、誰かに迷惑をかけているわけでもない。
「小栗さんは、夕飯何食べた?」
「ん?ラーメン食った」
ほら、普通のカップルだ。
「…ねぇ、さとちん達って、苗字で呼び合ってんの?」
何気なく、そんなことが気になって聞いてみた。
さとちんが小栗さんを見る。
小栗さんはさとちんをチラッと見て、前を向いた。
任せるよ、ってアイコンタクトでも取ったのか。
「お互い、名前で呼び合ってるよ。…でも、やっぱり、人前じゃ恥ずかしくて…ははっ」
さとちんが照れながらそう答えた。
あぁ。
本当、俺、友達として、何を見てたのか。
「あ、そうそう!オカねぇ、秋に結婚するんだって!」
「へぇ!そうなんだ。おめでとう!」
さとちんの言葉に、小栗さんがすぐさまお祝いの言葉をくれた。
さっきの俺には…出来なかった事。
「ありがとうございます。…あ、そういや小栗さん…さとちんにプロポーズしたらしいですね」
「え?」
「ちょ!オカ!」
さとちんがガバッと俺を振り返った。
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