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俺は朝から母に何とか家に残れるように言おうとずっとソワソワしている。
母も何か言いたそうだと気付いているんだろうが、話題を振ってはこない。
何度か言いかけては黙る俺を不思議そうに見る母は「買い物付き合って」そう言って俺を家から連れ出した。
スーパーでカートを押しながら母がおもむろに話し出す。
「何かあったの?」
『何が?』
「あんた、ずっと何か言いたそうにしてるから」
『……そう?俺そんな風にしてた?』
「してるわよぉ。で?何かあるの?」
『…あのさ、あの…明日…俺だけ行かないとかは無し?』
「行きたくない理由は?」
『一緒にいてやらないと独りぼっちの奴いて…さ…』
「彼女?」
『…彼女じゃない。男だし』
「友達?その子、家族は?」
『いるけど、ひとり暮らししてて。色々あって家には帰れないんだ』
「そっか。一緒にいてあげたいの?」
『…まぁ…うん…』
「…仕方ないわね」
『いいの?こっち残っても』
「でも、その子の家に行くのはダメよ。家に呼んで、自分の家で2人でいること。お母さん食べる物とか準備しておくから、その方が何か安心する」
『わかった。母ちゃんマジ感謝』
「バカね」そう言って母は笑った。
意外にもすんなり残ることを許してくれた母に感謝して、俺はその日のうちに草野にメッセージを送った。
31日の朝9時に泊まる準備して俺の家に集合。
草野の返信は了解の一文字で、嬉しいのか嬉しくないのかよく解らなかったけれど、31日の朝9時に我が家に来た時の表情で、嬉しかったのが何となくわかった。
家族が家を出る間際に来たから、草野はたいした挨拶もできずに慌ただしい家族を眺めていた。
くれぐれも悪いことだけはしないようにと母は念を押して、家に来た草野に弟は不機嫌そうに突っかかっていたけれど、母に車に押し込められて渋々後部座席に座りこちらを睨んでいた。
父に「何もしてあげられないけど、ゆっくりしていって」そう言われて草野はペコっと頭を下げ、俺達は皆を見送った。
「お前…良かったのか?行かなくて」
『今さらそれ言う?いいから残ったんだろ』
「俺と一緒にいたかった?」
『何ニヤニヤしてんだよ、俺はお前がボッチで寂しいだろうと思って…』
「そっか…」
『寒いっ家入ろうぜ』
暖かな家の中、2人コタツでくつろいで
ただただ穏やかな時間を過ごす。
ゲーム機を部屋から持ってきてリビングのテレビにつなぎ、テーブルの上にはお菓子にジュース、籠の中にミカンを入れて食べて飲んでゲームをする。
昼になって、母が作っておいてくれたご飯を食べて、食器洗うのは後でいいかなんて2人で話して、またコタツに入りゴロゴロする。
『眠くなってきた』
「俺も」
『昼寝する?部屋行く?』
「動きたく無い…このままここで…」
草野は既に瞼を閉じていた、今にも寝落ちそうに会話も途切れ途切れになっていき、自分も寝ようとその場に寝転んだ。
「立花…」
『なに?』
「隣に…来いよ…」
『狭いだろ』
「狭くてもいい…一緒に…」
うとうとしながらも俺を呼ぶ草野がなんだか小さな子供の様で、いつもとは違う。
俺は草野の隣に潜り込み、草野の顔をジッと見つめた。
草野は薄らと目を開けてフッと笑い「そんなに見んなよ…」そう言ってまた再び目を閉じた。
俺も重い瞼を閉じて、しばし眠りについた。
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