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裏口から店を出た俺は角を曲がり大通りへ。
そこにはガードレールに腰掛けるように座ったリカちゃんの姿がある。
遠くをぼんやり眺めながらタバコを吸う。
時折吹く風がリカちゃんのコートの裾をはためかせていた。
「……あぁ、お疲れ」
俺に気づいたリカちゃんがくたっと笑う。
それを見ていると少し胸が苦しい。
喧嘩して鍵を投げつけ勝手にバイトを始めた俺。
かたや、からかわれても真っ直ぐに答えてくれピンチの時には助けてくれたリカちゃん。
こんなにもある2人の差がもどかしい。
「飲んだから今日は俺も歩き」
「……酒弱いくせに」
「可愛くねぇなお前」
出るのは憎たらしい言葉ばかり。
「春つっても肌寒いよな」
「…オッサンだからじゃねぇの」
「それ関係ねぇだろ」
素直になれなず、そっと唇を噛み締めた。
「……タイミング良すぎだって言われたんだけど。」
話をそらすように言えば、リカちゃんは「だろうな」と笑う。
「なんでだと思う?」
「知らねぇよ」
「盗み聞きしてたくせに?」
「気づいてたのかよ?!」
「当たり前だろ。必死に隠れてんの見えてたし」
気づいてて知らんぷりしてたのかよ…。
リカちゃんらしいと言えばそれまでだけど。
「次からは助けてやれねぇからな」
俺の背中に触れる手はとても大きく感じる。
素直になるのとワガママを言うのは違う。
頭ではわかっているのに…どうして俺には出来ないんだろう。
考えれば考えるほど自分が嫌になりそうだ。
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