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不断
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海斗からの連絡は夕方頃に来た。「19時に来て下さい」と言う実に短い言葉だったが、その確約が嬉しい。
仕事も良いところで切り上げて、一度帰宅してから海斗の家に向かう。嬉しい反面、緊張している。なんでだろうか、あの頃は緊張なんて全くしなかったのに。
ドアの横にある呼び鈴を押すと、「はい」と言う言葉とほぼ同時に扉が開けられた。
実に不容易だ。
「おまえ…相手を確認する前に扉を開けるなよ」
「…雅と同じこと言ってる。先生が来るって分かってたから大丈夫ですよ。」
「雅の時は違うだろうが。」
「細かい事は気にしないで、早く入って下さい。」
扉を開けて促されて俺は足を踏み入れた。決して広くはないけれど、窮屈な程狭いわけでもない。失礼だとは分かっていても部屋の中を見渡してしまった。
「おじさんこんばんは!」
テーブルの上に大きな紙を広げて絵を描いている空君がいた。
「こんばんは。お絵描き中?」
「うん!おじさんもかく?」
「あとでな。先に海君とお話したいんだ。」
「ふーん、じゃあぼくはかいててもいー?」
「いいよ。」
空君が何を描いてるのかは分からないが、色んな色を使って凄くカラフルに描いている。なんだか性格がそのまま滲み出ているようだった。
「先生、お茶入れたのでこっちに。」
小さな食卓テーブルに二つ並べられたから湯呑みから湯気がふわりと立ち込める。若いのに、湯呑みでお茶か…とギャップというか昔の海斗を思い出してはありえない状況だとつくづく思う。
「ありがとう」
「…それで、話っていうのは?」
俺は苦笑を浮かべた。
まだ、自分自身が定まっていない。
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