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恋と呼ぶには…
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αとして生まれてきてから、それを自慢に思った事はない。αやβ、Ωだからなんなのか。性質の違いはあれど、そこに力の差を作ってはいけないんじゃないか。そう思ってきた。それでも世間は皆一様に僕を褒めて、何かと取り入ろうとしてくる。僕の気持ちがどちらに向いているかなんて、どうでもいいようだ。αだから凄いし、それを讃えれば取り入れるとでも思っているんだろう。大方間違いではないけど、僕はそれが死ぬ程嫌いだった。なんで僕はαなんだろう。βなら良かったのに。そう何度思っただろうか。
なのに今になって、自分がαだった事を嬉しいと思っている。こんな日が来るなんて思わなかった。
保育園に通う園児の親。
本来なら恋愛の対象にもならず、当たり障りのない付き合い方をしていくものだが、彼の場合はそうはいかなかった。初めて会った時から心が騒ついて、目が離せなかった。Ωの香りを感じたからだけじゃない。きっと彼がΩがじゃなくたって、この気持ちは変わらなかった。
幸か不幸か、彼は結婚をしていなかった。空くんが誰との子なのか分からないけど、そんな事はどうでも良い。彼の子だと思うだけで愛せてしまう。贔屓をするわけじゃないけど、僕だって人間だ。特別な感情を抱いてしまう事もある。他の園児と空くんだったら、やっぱり彼の子の方が愛おしく見える。
どうしてこんなに彼の事を想ってしまうのか。
それは僕には分からないけど、
僕は彼と家族になり、
番になりたい。
αとΩだからなれる深い深い絆。
それを彼と結べたらこんなに幸せな事はない。
強引だったけど彼と交わした口づけは何よりも甘かった。柔らかくて温かい、あの感触は今でも蘇る。彼よりもずっと大人なのに、彼を想えば衝動も抑えきれない。
「海斗くん…」
そう囁くだけで、唇から熱が生まれていくのだ。
αが宿す、僕の嫌いな血が騒いでいる。
君は僕を、どうしたら受け入れてくのれるだろうか。
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