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「…て、訳なんだけど」
俺が聞いてなかった"本当"の涼の言葉。
涼は嫌いになってなかった。ちゃんと分かってくれてた。
俺の、勘違い。
「ごめ、ん…」
俺、涼の事信じなかった。絶対涼なら俺の事嫌わないって。
「なんでお前が謝るんだよ。悪かったのは俺の方だよ、ごめんな。紛らわしいこと言って」
涼のせいじゃない。信じなくて、別れるんだって俺が勝手に勘違いしただけ。
「もっと違う言い方もあった。あの時あれで止めずにお前にどうかしたのかと聞いておけば良かった。…俺のせいだ。お前は悪くないよ」
「で、も…、俺お前信じなくて…」
「ああいう風に言われたら不安になっちまうのは当たり前だ。…俺がもっと考えて発言すべきだったんだ」
「あ、う…」
「だから、ちゃんと言わせて」
ぎゅう、と力強く俺を抱きしめて、ポンポンと俺を落ち着かせるように背中を叩きながら涼は言葉を続けた。
「お前は狂ってなんかない。嫌う所なんてどこにもない。お前の全部が好き、大好き」
「…っ」
「大好きだよ昴流。誰よりも愛してる」
「や、も…っ」
耳元で囁かれるそれにぽぽぽ、と顔に熱が集まっていく。
嫌ってなかったと分かって安心したけれど、次は心臓が破裂してしまいそうだ。
「ふふ、可愛い…」
涼の胸板に顔を埋め、すりすりして恥ずかしいから止めてとアピール。
恐らく、今耳まで真っ赤になっているであろう俺のそれが伝わったのかクスリ、と笑って俺の頭に口付けした。
「…ん?」
「ふえ……?」
俺の髪から唇を離すと何を思ったのか、俺の服の襟を捲った。
そして、なぜか顔が険しくなり首筋から鎖骨にかけて撫でてきた。
ピリピリとした痛みが走り、顔を歪ます。
「…ごめんな」
「う…?」
「ちょっと待ってて」
そう言ってソファから立つと、涼は書斎の方に行ってしまった。2分ほどして戻ってきた涼の手には救急箱。
何で?謝られた理由も分からないけど、何で救急箱?
「首引っ掻いただろ。切れてる」
「え、引っ掻いた…?」
引っ掻いた記憶がないんだけど、気づかないうちに引っ掻いてたのかな?
「絆創膏…じゃ短いか。どうしようかな…」
悩んだ末に取り出したのはガーゼとテープ。ガーゼを傷のサイズに切って、それを傷に当てて、テープで貼る。
「…ごめんな、昴流」
「…?何が?」
後悔の表情を浮かべながら俺に謝罪の言葉を言った。
何で涼が謝るのか俺には分からなかった。
ーお前を不安にさせてしまってごめんー
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