アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
獅子王の挑戦2
-
朝一番、食堂では少々騒ぎが起きていた。
その<匂い>に最初に気づいたのは鼻のきく小狐丸だった。
狐「……のう、三日月や。少しばかり………甘い匂いがせんか?」
その一言に、誰よりもギクッとなったのが獅子王であった。そしてその獅子王の異変をめざとく見つけたのは今剣。
今「あーーーっ!いま、…ギクッてなりましたね、獅子王!!」
獅「こ、こら今剣!シッ!!」
今「こぎつね!はんにんはきっと獅子王ですよ!」
狐「なに!……獅子王、真か…?」
獅「っな、ち……違いますって!!本当に!俺じゃない!」
三「ではいまつるの言う、ギクッとは…?」
獅「…!えっ、と。その………寒かったんですよ、身震いってヤツです!…今朝は冷えませんか?!」
石「確かに…もう9月も終わりだね。あんまり寒いから朝早くに目が覚めてしまったよ」
最初は若干疑いの眼差しを向けていた今剣と小狐丸もこの石切丸の言葉で、完璧に信じたようである。
……助かった。すましていた獅子王だが、内心では安堵のため息を漏らしていた。
そこに聞こえてくる、歌仙と光忠の声。
燭「みんなーっ、ご飯盛ってくださーい!そろそろ運び始めまーす!!」
甘い香りの謎は残ったものの、獅子王にかけられた疑いは晴れたようである。
……実は。
昨晩、鶴丸に食堂で起こされて変に目がさえてしまった獅子王はそのまま台所でヒソヒソとお菓子作りをしていた。作ったのは手軽に作ることのできるチョコクッキー。その時の残り香に、小狐丸が反応したのだ。幸いだったのは、まだ小狐丸と朝の早いその場にいた三条の刀たちがチョコの匂いを知らなかったことである。
歌「あ、蛍丸。ちょうどいいところに。これ、皆に運んでくれるかい?」
蛍「えぇ~~めんどくさい……あ、国俊!ちょうどいいところに!コレ、皆に運んでって歌仙が!!」
愛「ん、りょーかい!!」
獅子王は自分の席につきながら1人模索していた。
……どうやったらバレずに、疑われずに皆にサプライズとやらでお菓子を作ってあげられるか。
この本丸には現在実装されているうちのほとんどの刀がきている。その数、自分含め54振り。
全員分を作るとなると相当な数になってしまう。が、その他にも越えねばならぬ壁が1つ……。
獅「いや……そこは気合いでどうにかするとして…。問題は歌仙と燭台切だよなー…。あの2人、台所いない時なんてあんのかな……」
そう。台所の番人、燭台切光忠と歌仙兼定の2振りである。審神者が当番を決めない限り、朝餉は大体この2振りが作っている。言わずもがな、昼も夜もこの2振りが。更にはこの2振りは部隊が違うため、2振り揃っていないことなんてのはなかなかないのだ。
…実に困ったものである。
獅「う~~ん……どうすっかな~~~」
三「何だなんだ獅子王。先程から独りでブツブツと。腹が減りすぎて気でも触れたか?」
獅「わっ!じっちゃん!!…ったく、おどかすなよ~~焦んだろ?」
横から声をかけてきたのは天下五剣が1振り、三日月宗近。
どうしても名刀揃いの三条と聞くと臆してしまう節がある獅子王だが、不思議と、1番の名刀である三日月宗近とだけは、「じっちゃん」と気安く呼べる仲だった。
ここでひらめく獅子王。
獅「そうだじっちゃん!ちょっと頼みがあるんだ」
三「…どうした改まって。まぁよいぞ、きいてやろう、お主の願い」
獅「いや……ここじゃちょっとあれだからさ。朝餉終わったら、いい?」
三「あいわかった(^^)」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 48