アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ー柳原side13ー
-
約束の時間になり駅で待っているのだが、まもるさんは一向に現れない。どうしたものか……と思っていると、向こうから電話がかかってきた。
「もしもし?」
「あ!ヒロくんごめんね?駅に着いたんだけど……まだかな?」
「あれ?俺も待ってるけど……あ、そうだ俺、髪の毛真っ黒になったんすよ……時計台の前にいます」
段々と人混みの中から電話口と同じ声が聞こえて振り向くと、スーツ姿のまもるさんと、何故か初対面なのに嬉しそうに手を振る、うちの制服の学生が横にいた。
「ヒロくん!ごめんね、待ったかい?」
「こちらこそ、急にごめん……あ、えっと……」
「ヒロ先輩だ!人形みたいにめちゃくちゃ可愛いっすね!金髪にしたら似合いそー!あ、俺とヘアゴムオソロにしますー?」
人見知りの“ひ”の字もなく、流石の俺も目を丸くして黙っていると、まもるさんは困った顔でため息をついた。
「かいと……!初対面なのにビックリするだろう?ごめんねヒロくん……家で待ってろって言ったのに聞かなくてね。」
「あー……電話で話してた従兄弟さん、かな?かいとくん初めまして。」
「えー?たろにぃが仲良くなれるって言ったから来たんじゃん。てかもう友達だし!よろしく!」
金髪だけど、前髪をヘアピンで結んでいるのが相まって、かなり子供っぽい印象だ。同じ高校の様だが、とりあえず年下ということだけは分かる。
その彼は、まもるさんのことを“たろにぃ”と呼ぶけど、実名は知らないままだ。……話が落ち着いた時、聞いてみようか。
「騒がしくてごめんね。悪い子じゃないんだ。……えっと、体調は大丈夫?」
「ん……それが、結構やばい、かも。なんかご飯食べれなくなって。」
ご飯の味がしなくなったこと、そのせいで全部吐いてしまうこと……。いきなりでかいとくんには申し訳ないが、全て腹を割って話した。いつもなら笑ってその場を和ませようと出来るのに、今ばかりは凄く怖くて、手が震える。本当に余裕が無いみたいだ。
「そんな……。とりあえず、話はうちに帰ってからゆっくりしようか。気が済むまでうちにいていいからね。」
「すみません……ありがとう、まもるさん。」
「ど、どうしよう……一大事じゃん。先輩、俺、なんか……うるさくしてごめん。全然知らなくて、その……」
かいとくんは、子犬のように真っ直ぐ感情表現が出来る人のようだ。俺とはまるっきり正反対な性格だが、何故か嫌味がなく悪い気はしないのが不思議だ。俺とまもるさんのことも、あまり深煎りしないし、悪い奴では無さそう。
「ふっ……俺らもう友達、なんでしょ?別に気にしてないから。」
「うう……ありがとう。ヒロ先輩めっちゃいい人!!俺も力にならせてください!!」
とりあえず、カロリーの摂れる食材とスポーツドリンクを簡単に買い、そのまままもるさんの家へと車で向かった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 26