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読書
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教室のドアから茶髪に染めた教師が面倒くさそうに入ってきた。
この学校は決して校則が緩い訳では無いが、たまに明るい色に染める人がいる。
「授業始めるぞー」
よく見ると目の下に隈ができており、欠伸も何分かに一度出ていた。
黒板に書かれた文字はもはや読めるレベルではない。
説明口調も何を言っているか聞き取れなかった。
すると、ある生徒が手を挙げて。
「下北せんせー、ちゃんと授業してくださいよー」
その問に対して教師は。
「こっちは二時間しか寝てないんだよ…くっそねみぃ」
教壇にうなだれ、すーすーと吐息を立てた。
教師としてはありえない事をした。
「下北せんせー寝たし、今日自習じゃねー」
「よっしゃーねよー」
よくもまあこの空気に耐えられるよな。
教師が寝るクラスだなんて耐えられない。
教科書やノートをトントンと綺麗に整え、引き出しから本を出し一人で読んでいた。
前の席からも後ろの席からも、隣の席からも声をかけられない。誰にも構われず優人は静かに読書を楽しんでいた。
そう。楽しんで“いた”のだ。
思いも寄らなかった。
少し騒がしいこの教室に、あいつらがいきなり入ってくるだなんて。
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