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夏の章三 夏ぐれ
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可児は食器棚の引き出しから錠剤を取りだし、遊命に与えた。
「何?」
「鎮痛剤。気休めかも知れへんけど」
「……ん、貰っとく」
薬と水を渡すと、可児は遊命の隣に座った。
『長谷川』は、未だ一言も発していない。
来たときよりも、顔色が悪くなっていた。
『俺達の話』と、言われて待っているが、いったいいつまで待てばいいのか。
出来れば、一秒でも早く遊命を楽にしてやりたかった。
「辛ない? 楽にしてたらえぇで」
「うん」
薬を飲み干すと、遊命はソファにゆっくりと身体を沈めた。
「…か…可児さん」
「はい」
「はい」
日出子と早生が、同時に返事をした。
「あ、む…息子さんの方です。可児早生さん」
嫌な感じがした。見ず知らずの他人に、名前を呼ばれる違和感。
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