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「…そういえば、さ。」
カップ片手に、楠田が後輩に身体をくっつけてくる。…榎野は、興奮が表情に出ないよう祈るばかりだ。
「送迎会ン時、悪かったな。俺、お前に『男なら、誰でもいいんだよな??』なんて言ってさ。」
年上である楠田の謝罪に、後輩は焦る。
「いっ、いえ。…俺こそ、先輩のこと、最初は身体目当てでしたし…。人のことを偉そうにどうこう言えませんよ。」
取り繕おうとする榎野に年上の男は謙遜するなって、と首を緩く横に振る。
「第一印象は確かに最悪だったし、襲われるは言い寄られるは…お前も大概にしつこかった。でも、何だかんだ言って、お前はいつも時間が許す限り俺のそばにいてくれた。さっきなんて、身をていして佐々から俺を守ろうとしてくれた。」
見かけによらず優しいとこあるんじゃん、と楠田は片肘で後輩を突っつく。
「や、優しいって、楠田さん…。あ、あれ…??」
榎野の手から、コーヒーカップが離れる。カップは床に落下すると、バラバラに割れて冷たい音を響かせた。
「やさしくて、やさしくて…。」
傾いでいく榎野の身体は、そのままフローリングの床に倒れこむ。
「本当、イヤになるよ。」
最後に後輩が見た楠田は、薄い微苦笑を口元に浮かべていた…。
榎野がやけに重い瞼を開くと、目前には薄闇に明瞭とまではいかないまでも、見慣れた寝室の天井があるとわかる。
(…とすると、ここは俺の寝室…。)
榎野は上半身を持ち上げようとして…違和感に気づく。両腕の手首は重ねられ、鎖で雁字搦めにされている。足は緩く開かれたまま、腕同様、鎖が巻きつけられていた。が、足の方は少し長さに余裕があり、多少は動かせる。
奇異な点はほかにもあった。榎野はボクサーパンツ一枚の下着姿にさせられている。更に唇はガムテープで塞がれていた。
「…起きたか。」
年上の男の声がしたかと思うと、榎野の腹にのっしと何かが跨った。目をやれば、乗っかってきたのは、先ほどと同じシャツ一枚の楠田ではないか。
楠田さん、これは…と言いかけた榎野だったが、ガムテープに阻害されて結局はもごもご繰り返すだけになってしまう。
「ごめんな。」
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