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買い出ししましょ
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こんにちは。大変ご機嫌な榊祐也です。
なんでご機嫌なのかって?そりゃあ、今日これから秀君が俺の家にお泊りに来るからですよ。
仕事は片付いたから問題ない。依頼も入ってないから大丈夫。朝顔を合せた時に、しっかり確認を取りましたとも。
秀が車で学校来たから、大丈夫だなとは思いはしたけどね。
まぁ、急な依頼が入って、呼び出されるかもしれない、とは言ってたけど。これから俺の家に一緒に帰るのは変わりません。
鼻歌歌い出しそうなくらいに浮かれていたから、必須科目で会った敏が、妙な者を見る目で見てきたけど、気にしません。
隣に秀がいてくれたけど、この金曜日の四時限が長かった。時間はいつもと変わらず進んでるってわかってるけどさ。
楽しみが待ってる時の授業って身が入らないよね。
さて、そんなわけで放課後です。
「買い出しとかあるなら、先に行くか?」
秀が車を停めた場所まで歩きながら、聞いて来てくれた。
いや、米とかトイレットペーパーとか、なんか嵩張る物買いに行きたいですけども。
まぁ、秀が聞いてきたのはこれからの食事についてなんだろうな。
「そうだね。スーパー行けたら良いかも」
一端帰ってしまうと、そのまま出かけたくなくなるので。
毎日帰りにスーパー寄ってますよ。主婦かな、俺。いや、主夫か。どっちでも良いよ。
「どうせ車だし。なんか嵩張って買いにくい物とかも買っといたら?」
秀がなんだかとっても優しいこと言ってくれてます。
惚れますよ。いや、現在進行形で惚れてますけど。
秀はエンジンかけて、近場のスーパーをカーナビに出してる。別に距離があるわけでもないし、道順は大丈夫なんだろうけど。
「ううーん。たしかに嵩張るの買いたいのはあるけど。足にしてるわけじゃないからね」
なんか、都合よく使ってる気がして、ついついそんなことを言ってしまう。
「は?そんなこと思わないけど。車じゃないと買いにくい物ってあるだろ」
秀もそういう買い物とか、したことあるのかな。何か実感こもってる。
「秀もそういう買い物するの?」
疑問はサッと解決すべし。というわけで、聞いてみる。
秀はあれ?って首かしげてる。
「言わなかったっけ?俺も一人暮らしみたいなもんだ」
それは初耳なんだけど。そうか、一人暮らしみたいなもん……みたいなもんってなんだ。
まぁ、一人暮らしと変わらない生活なら、秀が家事するっていうのも、買い物するっていうのもわかる。
「みたいなもんって何?」
そこはやはり気になる。気になることはズバッと聞くべし。
「あー、なんていうか。ビルの上に住居あるんだけど。兄弟とか従兄弟とか、仲間とか皆住んでる。部屋は別々だから、独り暮らしみたいな感じ」
ほうほう、なるほど。秀は俺の質問に、しっかり答えてくれる。これって実は、嬉しいことなんだよね。
皆同じマンションに住んでるって感じなのかな。ビルって言い回し的に、マンションやアパートとは違うんだろうけど。
「今度、秀の家行ってみたいな」
何気なく、言ってみた。やっぱり、秀がどんなとこで暮らしてるかとか、気になるんだよ。
兄弟や従兄弟はわかるけど、仲間って何だろう?そこまで突っ込んで質問責めにしても良いかな。
「別に良いけど。二階が事務所になってるから、最初は入りにくいかもだけど」
秀は困るでもなく、あっさり了承してくれた。
二階が事務所……。秀の仕事の事務所ってことなのかな。だとしたら、一緒に住んでる仲間っていうのは、その事務所の人たちなんだろうな。皆、秀みたいな力を持っているんだろうか。家族は持ってるって言ってたな。
「やったね。次は秀の家にお泊りとか、駄目かな」
なんて言ってみる。調子乗りすぎかな、俺。
「かまわないが。家にいると依頼が来たら、確実に呼び出されるけど。いつものスーパーってここ?俺が知ってる方が安いから、そっち行く?」
カーナビで、近くのスーパーを表示させた秀が、問いかけてくる。
「安い方があるなら、そっちが良いかな。……流すとこだった。外にいた方が、呼び出される確率は低いの?」
スーパーについての回答して、本当に流すとこだったよ。
嫌だよね、二人でイチャイチャしてるのに、呼び出し来たら。
「わかった。あぁ、どうだろ。あんまり外にいたことないからわからないし。家に誰か連れてったこともないから、何とも言えないけど」
車を発進させた秀が、考えながら答えてくれる。
そうだよね。ここまで仲良くなったのって、秀は俺が初めてなんだし。わからないだろうね。
普段は事務所とか、家にいることが多かったのかな。こうやって、週末出かけるなんてこと、なかったんだろうな。
「依頼以外で出かけるのは、珍しいなって従兄に言われたし」
昨日、事務所の責任者になってるお兄さんに、出かけるって言ったら、従兄さんの方からそう言われたそうな。
本当に、出かけたりとかほとんどしてなかったんだね、秀。
「へーほーふーん」
ふんふんと頷きながら、意味のない言葉が出る。
「何だよ」
「えー、秀って本当に俺が色々ハジメテなんだな、って思っただけだよ」
ニヤニヤが止まりません。
こんな嬉しいことってなかった。本当、この大学選んで良かったよ。
「馬鹿にしてるだろ」
秀は少しムスッとしてる。もう、その顔も可愛いです。
「してないしてない。嬉しいだけ」
ニヤニヤニヤニヤしてるからかな、と思いながら。でもやっぱり表情筋は緩んだまんまだ。
もうこればっかりは仕方ないので。車って密室だし、周りから見られることもないから。横に並んだ車からは見えるかもしれないけど。そんなこと気にしない。
さほど走ることもなく、スーパーには着いた。秀が苦労なく、バックで駐車する。すごいなぁ、なんて助手席で思って見てた。
安いと言って連れて来てくれたスーパーは、やっぱり俺の家からはちょっと遠くて。いや、自転車で頑張れば、来れなくはないけども。
「米とか買うなら、カートいるだろ」
秀がそう言ってカートを示す。いつもの癖で、俺はカゴだけ手にしてた。
「おっと、そうだった。そろそろ買いに行かないとヤバいなぁって思ってたんだよね。秀ありがと」
毎食米というわけでもないから、まだ大丈夫なんだけど。そろそろ頑張って買いに行くかな、と思ってたのは本当のことだ。
「別に……そういう買い物有るなら、言ってくれれば車で学校行く」
なんて可愛いこと言ってくれたりするんでしょうか。
もう俺、スーパーでもニヤニヤしそう。頑張って耐えるけど。
秀が毎回このスーパーに来てるなら、変な人間と一緒だった、とか思われたら嫌だろうし。
「いやいや、週末の一緒にいられる時に、こうやって買い出しできるだけで、俺は嬉しいよ。そんなこと言われたら、特に何もないのに、秀を買い出しに引っ張り回しちゃいそう」
毎日毎日学校終わったら、買い出しに付き合わされても困るだろう。
「まぁ、こういう食材の買い出しじゃなくて、普通の買い物には行こうって言うかもだけど」
そういえば、買い物に行こうと言ったのは、まだ実現できていない。
まぁ、これも買い物といえば、買い物なんだけどさ。
「普通の買い物?」
秀はちょっとピンときてないみたい。
「服買いに行ったりとか、楽器屋とか……あ、でも秀は楽器やらないから、楽器屋はつまらないか。あとは、本屋とかそういう買い物」
俺が言ったのに、ああ、と頷いている。
秀ってどこで服買ったりするんだろ。何気にお洒落なんだよね、秀って。
「前に買い物行こうって言ってたな」
あ、覚えててくれてた。
今日、食材家に置いたら行っても良いけどね。まだまだ時間はたっぷりあるし。
「そうそう、それ。……あ、米が安い」
頷きながら、ついつい安さに声が出てた。
いやたしかに、俺が普段使ってるスーパーより、色々と安かったけど。安さに負けて、肉は冷凍でも大丈夫だから、と買い込んだくらいだ。
野菜とか魚はやっぱ無理があるけど。あれ、魚も冷凍大丈夫だっけ?俺あんま魚食べないから良いや。魚より肉。
「一人だけど、10㎏買った方が、得だからな。俺はだいたいここで買う」
たしかに割合的に、10㎏のが断然良いわけで。俺も最初10㎏買ったし。
まぁ、自転車で頑張るか、って思った時は、5㎏が限度かなとも思ったけど。今は秀の車で来てるから、遠慮なく10㎏に手を伸ばす。
「だよな。買う頻度も落とせるし」
車で連れて来てくれた、秀に本当に感謝だ。
「秀って、お菓子とか食べる方?」
俺の家にはあまりお菓子の類がない。が、誰かを家に招くとするなら、つまめるお菓子が欲しくなるものだ。
甘い物はパスな俺だけど、秀が好きなお菓子なら、特に気にしない。
「和菓子的なのなら食べるけど」
わぉ、和菓子か。俺あんま食べたことないや。
「へぇ、どんな奴?」
和菓子って甘いイメージが。あ、でも煎餅とかならそんなでもないか。
「こういうのとか」
あらかたの食材は買い終わったので、秀の好きなお菓子を見に行く。
教えてもらったのから、何個かカゴに放り込んで。やっぱり甘そうだな、とか思ってしまう。
「ポテトチップスとか、食べたりする?」
甘い物だけでは、俺が駄目なので、聞いてみる。
「あんまり食べたことない」
よし、買うの決定。
会計時に、秀が言ったお菓子もそのままレジに通しちゃったから、お金払うと言われたけど。そこは車出してもらってるお礼、と言って言いくるめた。
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