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出てきたカレーは食欲をそそる匂いで鼻孔をくすぐった。
浅海は我ながらよく出来た、と顔をにんまりと綻ばせる。
「……良い匂い」
瀬世はカレーを前にして少し口元を緩める。
本当にそう思ってくれているのだろう、浅海は嬉しくなった。
「お、美味しい……?」
「……うん、美味しい。やっぱり先生の料理が一番美味しいね」
そう言ってこちらをにこりとした顔で見つめる瀬世に、浅海はすっかり沸騰しきっていた。
「そ、そう……なら、良かったよ」
耳まで真っ赤にする浅海を、隣で食べている咲はやれやれ、といったように呆れ顔で見つめていた。
カレーを食べ終わり、食器を洗っている時のことであった。
咲が自分の食器を持って来た。その時である。
「お父さん、ヤるなら外行ってね」
あまりに突然のことで、浅海はポカンと口を開けた間抜けな面をするしかなかった。
急いで思考をフル回転させる。
「え、あ、え、咲……?」
「だから、ヤるならラブホテルとかに行って下さい」
『ヤる』!? 『ラブホテル』!? 今の子はそんな言葉を小学生で覚えるの!? ――
浅海は頭を抱えるとその場に崩れ落ちた。
「さ、咲ぃ! どこで覚えたんだ、そんな言葉ぁ!」
「え、瀬世さん?」
咲は食器を持つ瀬世を指差した。
瀬世は真顔で食器をシンクの中に置く。
最悪だ――
この自己中野郎は、人様の娘にまで影響を及ばしてしまうのか。酷い、酷すぎる。
「瀬世、お前、本当に……」
「……さて、ラブホテル行きましょうか」
こちらを向いてにやりと笑う瀬世に、浅海はただただ怒りを覚えた。
「だぁれが行くかあああああああああああああ!!!」
神様、お願いします。この馬鹿野郎に天罰を――
しかし、神様って酷い方ですね。
結局、浅海は瀬世に無理矢理――ラブホテルとはいかないが――普通のビジネスホテルに連れていかれてしまったのであった。
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