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それから流星群が終わるまで、僕たちは会話もなく黙って空を見上げていた。最後の流れ星と思われる星が消えて無くなっても、しばらく声が出なかった。
今まで生きてきた中で、最も心を動かされた瞬間だった。感動の余韻が抜けきれぬまま、上げていた顔を隣に座る剛平さんに向ける。僕たちは、街灯から一番遠い鉄棒の上に座って流星群を見ていた。
「……剛平さん」
「…あぁ」
「………ありがとうございました」
「俺は何もしてない」
「ううんっ!だって、剛平さんと出会えていなかったら、剛平さんが流星群のことを教えてくれなかったら、僕はこんな素晴らしいものを見ることが出来なかった」
「そうか…そう思ってもらえたなら、嬉しい」
今でもまだ、体の中で美しい音楽が演奏されているような不思議な興奮に包まれている。目は感動の涙に漂っていた。暗くて見えないから、きっと剛平さんには気付かれていない。
もう星は流れていないと分かっていても、ついつい夜空を見上げてしまう。それほどの光景だった。剛平さんも同じように星空を見上げているのが分かる。小さく、剛平さんが問いかけた。
「…夜の星空は、好きか」
「剛平さんと出会って好きになりました!」
「……よかった」
暗くて見えないけれどきっと剛平さんは今、穏やかで優しく、星の光にも負けない綺麗な笑みを浮かべているんだろう。剛平さんの貴重な笑みを明るいところで見れないのは少し残念だけど、雰囲気で剛平さんが笑っていることを感じれるのを悪くないなと思った。
「ねぇ、剛平さん」
「…なんだ」
「好きです」
「……そうか」
「はいっ」
好きです。今はまだ、僕の気持ちは届いていないかもしれないけれど、今伝えたことにきっと意味があると思うから。夜空に浮かぶ星が、僕の恋を応援してくれているような気がした。
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