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そのきゅう
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とんっと肩が触れた先は友人の胸だった。
「この人たちは捌けるまで放置で」
小さな声で告げられた業務連絡に視線で応えれば、どっかから「キャッ!」というこれまた小さな声が聞こえてきた。
次いでカシャッという軽い音。
反射的に音のした方を見るも、そこには当然多くの人がいて、順番待ちの列の人たちはスマホやカメラを持っている。
今のは……と友人を見れば彼は苦笑いを浮かべていた。
撮られたのは俺たちで間違いないと。
「……どこいったよ肖像権」
「うちは全員フリ素かなー」
許可取ってくれればサービスするのにな?なんてアホなこと言ってる姿が腹立って、彼の鳩尾に肘を入れてやった。
友人が痛みで後ろに下がり俺から離れるのと、俺の腕がまた引かれたのは同時だった。
遠慮のない力に体勢を立て直せないまま、背中から誰かに飛び込んでしまった。
どっかから「キャッ!」という大きな声が複数聞こえてきた。
次いでカシャカシャカシャッという軽い音。
デジャヴってこういうのを言うんだよな。
そんな思考を嘲笑うかのように「蒼斗」と自身の名を紡がれた。
あぁ、"これ"はデジャヴじゃねーのか。
これ――よく知っている、しっくりと来る身体の持ち主へと振り向けばそこには。
「波瑠……」
笑顔と雰囲気が一致していない恋人がいた。
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