アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Number:21
-
「霜暗さん、どうしました?」
「...あ、いえ。何でもないです」
どこかいつもとは違い落ち着かない様子の龍は、コーヒーを啜り気持ちを落ち着かせた。
「場所、変えましょうか」
「え、...は..、はい...」
龍と香織はカフェを後にし、路地裏にあるホテルへ向かった。
「...あの、霜暗さん...ここ...」
香織は目を逸らしながらも何か期待しているようだった。
「...思い出、作っておこうと思って」
本心かも分からないようなことを口にして、鍵を受け取ると龍は足早に部屋へ向かった。
『路地裏のホテル』
どう予想したのかは分からないし確証もないが綾瀬が書いた場所を目指し全速力で走った。
「香織さん...っ」
「まさか、霜暗さんから誘うなんて...意外すぎてびっくりしました...」
微笑しつつ荷物を置いて上着を脱ぐ香織を見ながら龍はナイフを構えていた。
「そのまま、振り向かないでもらえますか」
「え?」
龍は覚悟を決めてそのままナイフを香織に刺そうとした。
しかし、振りかぶった腕は香織の体すれすれで動きを止め、動かなくなってしまった。
「霜暗さん?どうかしました?」
「...っ......なんで、...」
止まった腕に力を込めるが、動く気配はない。
「...い、いえ。髪にゴミが付いていたので取りたくて。ちょっと待ってくださいね」
「ふふ、分かりました」
何とか香織を振り向かせないようにと言い訳をした。
『俺は殺し屋。こいつは知らない女。香織じゃない。』
龍は何度も自分にそう言い聞かせた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 54