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俺の周りの変化-4
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黒田が悲鳴をあげて何故だか俺にしがみついて来た。足音たちの正体は綺麗な顔が怒りで魔王のような風貌になっている百瀬を始めとする風紀委員のやつらだった。
「佐藤、平気か?と言うより……佐藤から離れろ!」
とうとう恐怖で俺に抱きついてしまった黒田に冷たく言い捨てると、百瀬らしくない乱暴さで俺から引き離した。
「白川から全てを聞いたぞ。白川が生徒に手を出しているというデマを流したのもお前だな。そして佐藤にまで何をやったんだ」
あちゃーー。むしろ俺が黒田にあれこれしようとしてたんだけどな。しかしここで情けをかけても仕方がないと思い、俺を親睦会で後藤に襲わせたことを黒田が吐いたことや、今も脅されて百瀬に近づくなと言われてたんだと都合の悪い部分は全て省略して早口で説明した。
百瀬は黒田を睨みつけると「連れてってくれ」と風紀委員のメンバーに支持して腰の抜けた黒田を教室から出した。
百瀬は途端に表情を和らげ、労るような目で俺を見ると、ついでに怪我は無いかとあちこち確かめている。
「白川から詳しく事情を聞く必要があってな、遅くなってすまない」
頭を下げて謝る百瀬を騙してるのも嫌になったので、むしろこっちが脅し返していたところだと告げると「佐藤の倍返しか」と言って笑い出した。
俺も釣られてしばらく笑った後、時間が無いので簡潔に白川について説明を受けた。
保険医として白川が赴任して来たのは三年前。当時中等部にいた白川は黒田少年と出会った。黒田は悩みがあると言っては白川の所にやって来て、随分と懐いていた。
白川も一生徒として可愛がっていたのだが、ある日黒田に好きだと告白されてかなり戸惑った。
やんわりと断ったのだが、脈があると勝手に勘違いをしていた白川に断わられ、激怒した黒田にそれ以来逆恨みされるようになったらしい。
生徒を食い潰していると全く有りもしない噂を流されたが、思春期に傷付いた黒田がヤケになっているだけだとそのまま放置していた。
そしてある日、黒田とその取り巻きに嵌められてしまった。白川が呆気に取られている間に黒田が抱きついて来て、それを写真に撮られたのだ。既に悪い噂を流されていた白川としては、かなり分が悪い。
そしてその写真をネタに、長年脅され続けていたそうだ。
今日も佐藤を連れて来て欲しいと言われ、黒田が一人だと分かった白川は、俺もそれほど酷い目には合わないだろうと祈る気持ちで黒田の所へ連れていき、すぐに風紀委員の元へ駆け込んだのだそうだ。
「なんだかなぁ。白川も大人の知恵を使って黒田なんか潰しちまえば良かったのに」
言ってからハッとした。やべえ、百瀬が俺の顔を凝視している。俺の発言にドン引きしたのかと焦っていたら、感心したように頷いて流石だなと何かに感動しているようだ。
「佐藤のその悪をぶった斬るところがやっぱり好きだ。世が世ならお前は英雄だ。惚れ直したぞ、さとう!」
やめい。何でも俺を美化するのは百瀬の悪い癖だ。こいつが俺を嫌いになる事ってあるのだろうか。
ーー俺だって毎日惚れ直してるんだぜ。
百瀬が熱い視線を送って来たが、予鈴のチャイムが鳴ったので、二人で教室に戻りがてら、取り敢えず百瀬のケツを撫でておいた。
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