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100回目の、I love you
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それは、物語みたいにある時突然思い出したとか、生まれた瞬間に持っていたとか、そういうものではなくて。
成長していく過程で、そうあることが当然だとでもいうみたいに、いつのまにか、俺の中に存在していた。
妄想だと言われれば、否定する術はない。
けれどそれは、思い込みだと片付けるにはあまりに鮮明すぎた。
俺には、"前世の記憶"があった。
ーーーいや、この言い方は厳密ではない。
輪廻の記憶とでもいえばいいだろうか。
前の前の前の、さらにもっと前の記憶まで。
俺は、鮮明に覚えている。
俺の世界の中心には、いつだってアイツがいた。
それは、女だったり男だったり、年齢も容姿もバラバラで。
生まれ落ちた世界によっては、人ですらなかったりもした。
身分も状況も、種族さえバラバラであることも珍しくはかった。
けれど、俺はいつもアイツを見つけて。
アイツもまた、俺を見つけた。
全てが違うはずなのに。
いつだって俺は何故か輪廻の記憶を持っていて、それゆえアイツの魂を認識することができた。
それは俺だけのことで、アイツはいつでも"今"を生きていたけれど。
それでも、俺たちはいつも愛し合って、お互いを求めあった。
そうして。
…………いつも不幸になった。
そう、俺たちの想いは、必ず俺たちを不幸にした。
俺たちはいつも必ず、その想いのために、たくさんのものを失って。
それでも、想いを塞きとめることができなかった。
……いや、"俺が"と言ったほうがいいだろうか。
だって、わかっていたんだ。
アイツは知らなかっただろうけど。
俺は、初めから知っていた。
俺のこの想いが、アイツを不幸にすること。
"刹那的な幸せ"という真綿が、ゆっくりその首を締め付けていくだろうこと。
俺はいつだってそれを、出会う前から、知っていたんだ。
それでも俺は、アイツの隣にいたくて。
愚かにも"今度こそ"を繰り返していた。
「…………今度こそ」
けれど、今回はちがう。
この"今度こそ"は、"今度こそアイツの幸せを見守る"という意味の、今度こそ。
どうしようもなく愚かな俺は、それでも決めていた。
99回だめだったら、100回目は、諦める。
99回も押し通した俺のエゴ。
99回押し通した、自分の"幸せ"。
そうして俺は、99回目も、アイツを不幸にした。
だから今度こそ、間違えない。
ーーーー今までのぶん、100回目のお前は、絶対に幸せにしてやるから。
ーーーーーー
「おい、斎賀!いい加減その服装をやめろって言ってんだろ!」
「も〜、朝からうるっさぁい〜!そんなにカッカしてると、血管切れちゃうよ〜?」
「誰のせいだ!!!誰の!!!」
いつも通りのやり取り。
今日も俺は、アイツの嫌いな"斎賀 翅"を演じる。
「ふふっ、またやってるよ〜」
「ほんと、仲良いよねー」
「誰がこんな奴と仲良いって?」
そうして、今日もまたおきまりのやり取りに律儀に対応するアイツを見つめた。
もはや名物として知られているくらいに、俺とアイツの対立は有名だ。
こんなにもアイツの目には軽蔑の色が浮かんでいるのに、それでも側から見れば仲良く見えるものらしい。
不思議だ。
「俺も、こんな堅物と仲良しっていわれるのはちょっと嫌かなぁ〜」
頭固すぎて、岩でもわれそうじゃなーい?
なんて軽口を叩きながらその会話にわりこめば、アイツの端正に整った顔が鬱陶しそうに歪められた。
「俺だって、お前となんか関わりたくねぇんだけど。大体お前がきちんとした格好をすれば、関わらなくて済むんだけどな」
それは、知ってる。
少し動けばチャリ、と音を立てるピアスを無意識になぞった。
いっそ痛々しいほどに耳につけられたピアス。
それが好きかと言われれば、そんなことは全くなくて。
べつにオシャレでつけているわけではないのだ。
……これは、俺への戒めと。
ーーーーちょっぴりの、我儘だった。
"これまで"は、いつだってアイツに好かれることしか考えていなくて。
だけど、今回はそんな想いは、エゴは、抑えなければならない。
アイツのことは、今回もすぐにわかった。
この学校に入学した日。
桜の木の下で、さらりと揺れる黒髪。
人目を惹く、抜群のスタイル。
意志の強そうな、澄んだ瞳に、整った顔立ち。
それ自体が目を引くのは間違いない。
俺も、思わずそれに見惚れてしまった。
けれど、それ以上に。
ーーーードクン。
この胸を襲ったのは、抗いがたいほどの、衝動。
駆けよって、抱きついて、すがってしまいたいような。
そんな、どうしようもない欲求。
あわててその場から離れて、いつまでも鳴り止まない心臓を、服の上からぎゅうっと押さえつけた。
ーーーー『あいしてる』
伝えたくなる衝動は、やまなくて。
どうにかそれを抑えようと、ふと手に取ったのは、安全ピン。
「…………ッ」
初めてそれを刺した痛みは、いまでもまだ鮮明に思い出せる。
痛みはあまり得意ではなかったけれど、ジクジクと痛むその傷口は、疼く心臓を紛らわせてくれる気がした。
そして、俺はその日、初めてピアスを開けた。
痛みが、俺のストッパーで。
俺が、"アイツのことを想えた"証だった。
それからも、アイツに想いを伝えたくなるたびに。
アイツに近付きたくなるたびに。
俺は、自分を戒めて、自分を激励した。
その"証"のおかげでアイツと話せる機会が増えたのは、僥倖といえるだろう。
今回の俺に与えられた選択肢は、嫌われるか、関わらないか。
その二択だけ。
俺はどうしても、"関わらない"という選択肢だけは選べなかった。
だから、"嫌われる"道を選んだ。
歪んだ表情でいい。俺のことを好きになってくれなくてもいいから。
ーーーーーせめて、その瞳に映り込むことだけは、許してほしい。
「…………おい、聞いてんのか?」
怪訝そうに顔を覗き込んできたアイツに、ハッと我に帰った。
「……聞いてるよぉ〜。けどー、他人のために自分のアイデンティティーを犠牲にするなんてー、俺のポリシーに反するんだよねぇ〜」
「じゃあこの学校にこなきゃいいだろ……。はぁ、マジで意味ワカンねぇ。まぁ、俺は注意したからな」
そういうと、さっさと踵を返して去っていくアイツ。
……きっと、俺のことなんて視界にも写したくないんだろうな。
視界の端に映る、自分の鮮やかな銀が目に痛い。
脱色して少し痛んだ髪を、そっとなぞった。
アイツは、規則を守らないような、秩序を乱すような、だらしない人間が嫌いだ。
自分にも他人にも厳しい、まっすぐな奴。
だから俺は、"だらしない人間"でいないと。
出来るだけアイツから"遠い人間"でいないといけない。
息が止まりそうなほどにキリキリと痛む心臓には、気付かないふりをする。
こんな痛みは、これまで幾度となくアイツを襲った痛みに比べたら、ないも同然だから。
そのはず、だから。
ーーーーーーー
「ゲホッ、ッ…………グッ」
「なん、で……お、まえ……」
ボロ雑巾みたいな有様で床に這いつくばる不良を、冷めた目で見下ろした。
「俺さぁ〜、卑怯な奴が、いっちば〜ん嫌いなんだよねぇ〜」
口元だけニッコリ微笑んでそう言えば、ヒィッと情けない声を上げる不良たち。
カッコ悪。
その程度でしかないなら、大人しく従っておけばいいのに。
明るすぎる光は、濃い影を生む。
まっすぐなアイツには、味方も多かったけれど、そのぶん敵も多かった。
「お前だって、あいつのこと、きらいだろ………!」
ゼイゼイ息を吐きながら、縋るように見つめてくるリーダー格の頭をもう一度蹴りつけた。
その瞬間、こいつらのせいで痛めた足首が痛むけど、それを顔に出すようなヘマはしない。
「きらいだよぉ〜?だけど、君たちみたいな意気地なしは、もっときらいなんだよね〜
文句あるなら、正面から言ったらどう?」
"きらい"という言葉に、ズキンと胸が痛んだ。
いつまで経ってもその言葉はこの胸に馴染まない。
それでも平静を装ってそう言ってから、手に握ったバットをプラプラと揺すった。
それは、こいつらがアイツに使おうとした、凶器。
「ねぇ、今どんな気持ち〜? 痛いよねー?つらいよね?
でも俺、素手しかつかってないんだけどさー?
………きみたちは、何を使おうとしたわけ?」
そのままバットでガンッと、近くにいたやつの頭スレスレを殴る。
「ヒッ?!ご、ごめん、悪かったから……!」
「君たちみたいな奴らって、スーグそう言うよね?でも知ってるよ?反省なんて、してないでしょ〜?
"覚えてろよ"って、心の中で思ってるでしょ〜」
どんなに萎縮して見せても、恭順を示しても、それはその場しのぎにすぎない。
俺が対象ならべつにそれでも構わない。
ーーーーけれどもし、またアイツを狙ったら。
「だからー、もうその手を悪用できないように、潰しちゃうのはどうかなぁって思うんだよねー」
その可能性がある限り、中途半端に終わらせることはできない。
最後の駄目押し。
完全に、俺だけを恨めばいい。
アイツのことなんて、頭から吹き飛んでしまうくらい。
嫌なこと、マズイこと、全部。
俺のところに集まればいいよ。
覚悟を決めて、バットを大きく振りかぶった。
ちょうどそのとき。
「おい!お前ら何してる!」
離れたところから、アイツの声が聞こえた。
あからさまにホッとした顔をする不良どもに吐き気がした。
自分が危害を加えようとした奴に助けられて、なにも思わないのか。
つくづく情けない奴らだ。
悪態をつきそうになる自分を諌めて、"斎賀"が選びそうな言葉を紡ぎあげる。
「あーあ、見つかっちゃったぁ……ねぇ、君たち。
もし俺のこと言ったらー、
……わかってるよね?」
「わ、わかった!わかったから!」
その言葉を聞いて、もう一度だけ睨み付けると、バットをその場に捨てて、走り出す。
こんなこともあろうかとフードをかぶっておいてよかった。
銀の髪はあまりにも目立ちすぎる。
けれど、それとピアスさえ隠して仕舞えば、俺に辿り着く手掛かりは何もない。
だから、このまま逃げ切ればそれで大丈夫と、そう思っていたのに。
「…………ッ、」
ズキン、痛めた足首はどうにも思うように動かない。
はやく、はやく走らないと。
俺は足の速さには自信があるけれど、それはアイツが相手じゃなかったらの話。
実際、追いかけてくる足音は段々と近づいてくる気配がして。
……このままじゃ、マズイ。
くるりと方向を変えて、角を曲がった先にある、校舎の別の階段を目指した。
そのまま、視界に入ったゴミ箱を拝借すると、階段を駆け上がりながら、下に向かって落とした。
ガターン!
階下で盛大な音がするのには脇目もふらず、とにかく屋上まで駆け上がった。
……きっと、音がした方になにかがあると思うだろうし、まさか行き止まりの階上に逃げるとは思わないだろう。
そのまま一気に屋上にでると、着ていたパーカーを持っていたカバンに押し込んで、寝転がった。
ーーー証拠隠滅、だ。
深く深呼吸をして、上がった息を整える。
これで、万が一屋上にアイツが来ても、バレないはず。
……にしても。
「ついてねーな」
不良は雑魚ばかりで、一人一人をとったらどうってことはない。
けれど、人数が人数で。
すこし制服の袖をめくれば、きっと無数の痣が浮かんでいることだろう。
まぁそれは、これまでにも良くあったことだからいいんだけど。
今回はそれに加えて足まで痛めるなんて。
少しズボンの裾を上げれば、すでに大分腫れているのが見えて、気持ちが萎えていく。
さっき無理して走ったのも祟って、しばらくは歩けそうにない。
どうやって家に帰るかな、と思案していると、ギィと扉の開く音がした。
「……おい」
その声にゆっくりとそちらをむけば、目を眇めてこちらを見るアイツがいて。
その肩が荒い息に合わせて上下するのをなんとなく見つめる。
その姿が視界に入るだけで早くなる脈と同調するように、痛めた足首がジクジクと痛んだ。
「なぁにー?そんなに急いでどうしたの〜?」
また揉め事〜?なんて白々しくも問いかければ、その眉間のシワが深いものになる。
「……なんでお前、こんな時間まで学校にいんだよ」
「そんなの俺の勝手でしょ〜?ちょっと女の子と遊んでただけ〜」
「…………ハァ、お前は本当に怒る気も失せる。ちょっと屋上を調べるから、どけ。お前がいると気が散る」
その言葉にジクジクと痛む心に蓋をして、いつも通りの笑顔を貼り付ける。
「ひど〜い、俺がいたら捗るの間違いじゃなーい?」
「……今はお前の相手してる時間も惜しいんだよ、良いからどけ」
そういうと、アイツは俺の手をグイッと引き上げて、無理やり立たせて来た。
「…………ッ?!」
予期しない突然の動作に足首が鋭く痛んで、思わず息を詰めた。
しまった、とそう思った時にはもう遅くて。
「…………!おまえ、足、痛めてるのか?」
「えー、なんのことー?」
「今、一瞬顔歪めただろ」
そう問い詰める顔には、なにか確信めいたものがのぞいていて。
「…………右足、だな?」
きっと、走る時に右足を庇っていたのがバレていたんだろう。
その言葉には、疑問符がついてはいるものの、もはや質問ではなかった。
そのまま、止める間もなくズボンの裾をめくられる。
「……!お前、これ……!」
アイツが怯んだのをいいことに、その体を突き飛ばす。
「おい待て!!!そんな足で走ったら……!」
アイツがなにかを言うのを尻目に、そのまま屋上から飛び出した。
いっそ折れてしまうのではないかと思うほどに痛む足で、それでも階段を駆け下りていく。
……俺、なにしてんだろ。
もうバレてるんだから、走ったって逃げたって意味はない。
大体、"不良と喧嘩していた"のがバレたところで、なにが困る?
素行不良の度合いが変わるだけで、大した変化は無いだろう。
それなのに、何故か俺は走っていた。
…………何故?
そんな思考に囚われていたからだろうか。
「っ!!」
思うように動かない足は、階段のわずかな段差に躓いて。
ぐらり。
階段のほぼ1番上で、重心が傾く。
ここから頭から落ちてしまえば、無事では済まないだろう。
あ、これはダメかもな。
なんてぼんやり考えながら、そっと目を閉じた。
なんだか他人事みたいだ。
だけど、良かったとそう思う。
いつだって、ギリギリだった。
表面張力だけで保たれているようなそれは、いつ溢れてもおかしくはなくて。
俺の欲が、想いが爆発する前にこの世界から離脱できるなら、それはそれでいいんじゃないだろうか。
アイツを壊そうとするものを排除するなんて、そんな即物的で幼稚なことしかできなかったけれど。
…………少しは、お前を幸せに近付けられただろうか。
もうお前の幸せを見届けることは出来ないかもしれないけど。
でも、俺がいなくても…………いいや、俺がいなかったら、きっとお前は大丈夫なんだろうな。
だって、いつだってお前を不幸せにしてきたのは、俺だったから。
ああ、どうか、幸せになって。
「あいしてる」
ずっと言いたかった言葉がぽろりと口から溢れた。
ああ、もう我慢しなくていいんだな。
「馬鹿!!!!」
けれど、そんな風に投げ出された意識は、体は。
ずっと求めて止まなかった温度に、声に、包まれた。
こんなのあり得ないと思う。
俺はもう死んで、実は天国にでもいるんだろうか。
「声ぐらいあげろよ!なんで助けを求めないんだよ!お前、こんなところから頭からおちたらどうなるかくらい、わかるだろ!!!」
切羽詰まった声。
ほんとうに、いつも冷静なアイツがこんな声をだしているんだろうか。
「なんで…………?」
ぐるぐるした挙句、口から出て来たのは、そんな言葉だけ。
「は?なんでって…………。あーもう……」
背後から抱きしめられたままで、その表情は見えないけれど、呆れた表情をしているんだろうなとそう思った。
「もう、だめだ」
そして、聞こえたその声の熱量に、息を詰める。
次の瞬間。
くるりと体をひっくり返されて、俺はアイツと向き合わされた。
「諦めようと思ったんだ。お前に幸せになってほしかったから」
どこかで聞いたことがあるような、そんな台詞に心臓が揺らぐ。
「けどどうしたって、お前から目が離せねーし、しかもお前はお前で俺のために無茶したりするだろ……」
そういって、壊れ物に触れるように、そっと足首を撫でられた。
その衝撃にびくり、と震えれば、なだめるように背中を撫でられる。
「馬鹿みたいと思うかもしんねーけどさ、俺、お前と99回分、恋に落ちた記憶もってんだよ」
「…………!」
「けどさ、そのどれもで俺はお前のこと、幸せにできてなかったから、今回はお前を手放してやるつもりだった。
幸せになってほしかった」
「それ、は……!」
「けどさ、やっぱ無理だわ。お前が俺の知らないところで、こんな風に死ぬかもなんて、絶対にたえらんねぇ」
そう言って、今回では見たことがないくらい、優しく笑うから。
ほろり、涙がこぼれてしまう。
「なぁ、ごめんな。俺、今回もお前のこと幸せにできねぇかも。でもさ、今回こそ足掻いてみるからさ。
……自惚れじゃなかったら、さっきの言葉って、俺に向けたものだろ?」
『あいしてる』
半分夢見心地に呟いてしまった言葉を思い出して、顔に熱が集まるのがわかった。
……もう、なにもかもぐちゃぐちゃだ。
「俺も、お前のこと愛してるよ。なによりも、誰よりも。もう、他のものは何もいらないくらい。俺の幸せは"お前"なんだ」
その言葉は、ストンと胸に落ちて来た。
俺の幸せは、お前。
それは、俺にも当てはまることで。
ああ、俺たちはお互い、回り道をしてしまったらしい。
「俺の幸せも、お前だけだ。お前がいれば、幸せなんだ」
唐突に吐いたその言葉の意味を、けれどアイツの聡明な頭はきっと正確に理解しているんだろう。
その証拠に、アイツは"知ってる"とでもいいたげに不敵に笑った。
「…………じゃあ、俺と一緒に"幸せ"になってくれ」
それは勧誘でも、提案でもなく、保証された未来の確定事項で。
だから、返事をする代わりに俺は自分から、その温もりに抱きついた。
ずっと求めて止まなかった、その温度。
あまりの幸せに、涙が溢れそうになる。
さらに、背中に回ったアイツの手は、より一層俺を引き寄せて。
隙間が存在しないくらい、ぴったりと寄り添ったまま、こみ上げる幸福感に、目を閉じる。
それは、回り道をしてしまった俺たちが導き出した、最終的な愛のかたちだった。
ーーーーーー
Nothing but you can make me happy.
君さえいれば、俺は幸せなんだ。
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