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ボロボロの侵入者
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『どうしたんだい?お前の方から連絡を寄越すなんて。』
「カナタ、すまない、図書館まで来てくれ。急患だ。」
『一体、誰が……』
「外部にバレたくない事情もあるらしい。追手に生け捕り目的で水中ライフルで撃たれたそうだ。」
『どういう……水中って事は外界人か?』
「そうらしいが詳しくは分からない。名前はユア、男性型Ωで、血液型はO型。キマイラだ。事情が事情だから、輸血パック持って一人で来てほしい。」
『分かった。5分以内にはそっちに行く。』
「あと、言い忘れたけど、ユアは発情期中だ。抑制剤飲んでから来いよ。」
『ついでに、その子の抑制剤も持ってこいと。』
「そーゆー事。任せたぜ、カナタ。」
『全く、言う事ばっか大きくなっちゃってw』
からかってくるカナタとの電話を切りロランはユアの元へ戻った。
備え付けてあったレトルトのコーンポタージュを温めて皿によそり、ユアの、肩をそっと揺する。
「ユア、起きれそうか?飯食っとけ。」
「ん……」
先程までの年の割に老齢した表情が嘘の様に、幼い寝顔。
安眠を妨害したくはないと思いながらも、少しでも早く身体を治すために必要な栄養をとらせる必要がある。
「ユア、」
「スープ?」
「ああ。コーンポタージュ。好きか?」
「好き。」
ユアが好きなら良かったと、ロランはできるだけ優しく微笑んでユアを抱き起こし、スプーンでポタージュを与えた。
ちょうど、ユアが全てのポタージュを飲み終わった頃、図書館のドアがノックされる。
「来たか……」
「来たって……ああ、あんた、俺の事を誰かに話したのか……」
失望と絶望の色を顔に浮かべるユアにロランは表情を変えずに言う。
「落ち着け。俺の父親だ。彼は信頼できる人だし、地上とも交流がある。お前の力になれるかもしれねぇ。」
カナタがΩ用の抑制剤も持ってきている事も告げると彼は驚いて目を広げたあと、自嘲的に脱力した。
「どうせ、今俺はあんたを信じるしかないんだ。それなら、信じたあんたに従う。」
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