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電話から戻ると、ベッドの端で小夜が体育座りをしていた。形のいい頭を膝に乗せて、小さく丸まっている。
「・・・さーや?どうしたの?」
「・・・なんでもない。」
この状態でなんでもない事なんてないでしょ?
「電話、気に障った?」
電話と言ったタイミングで、ピクリと肩が震えた。
うん、間違いないね。
「さーや、一個約束して?」
「・・・何を?」
すっかり拗ねた様子に苦笑した。
「何か気になったり、感じた事があったときは遠慮せずに互いに確認するってこと。小夜が何か俺の事で悩んでいるのを気付かないこともあるかもしれない。」
そう。
心がすれ違っていったら、一緒にいるのが辛くなる時だって出てくると思う。
「・・・だから何でも言って。」
「・・・嫉妬でも、いいの?聞いて楽しいものじゃないよ?」
「言って。嫉妬して欲しいから。」
そう言って頭を撫でると、ようやく顔を上げた。
「嫉妬、しちゃったんだ。さっきの電話の人に。うららって呼び捨てするくらい仲が良いんだなって・・・女の人だし。なんか謝ってたし。胸がもやもやして。」
可愛い事を言われて、笑みが溢れた。
ベッドに座り、小夜を引っ張った。態勢を崩した小夜と、そのままベッドに横になる。
「・・・言ってくれて、ありがとう。」
ちゅ、と額にキスを落とした。
「あのね、小夜。麗(うらら)は俺の妹。」
「いもうと・・・。」
「実はね、小夜に謝らないといけない事ができた。」
「・・・なに?」
先週電話があったときに、来週の土曜(今日)に実家に帰ってきて欲しいとは言われていたが、すっかり忘れてすっぽかしてしまった事を責める電話だったのだ。
実際、麗の名前を見るまでは全く覚えていなかった。ちょっと前までは優先順位のトップは姪っ子だったけれど、一位小夜、二位小夜、三位小夜状態の優先順位に姪や妹が入る隙間がなかったのだ。
そういうわけで、来週こそは帰って来てと念押しされた電話だったと正直に伝えた。
「だからね、引っ越しは日曜になるけど、良い?」
「うん、大丈夫。ごめんね、妹さんに嫉妬したりして。」
「俺がごめん。早く一緒にっていいながら、予定伸ばした。」
互いに謝りながら、キスを交わす。不安な事、不満に思うこと、ひとつひとつその時に解決していこうね、と指切りをした。
俺と違って小夜は我慢するタイプの子だから、心配だ。
仕事柄遅くなることも多いし出張もある。不和に繋がるようなことは、絶対に避けたい。
「好きだよ。」
「おれも。」
ギュッと抱きしめる。
どうかこの子をずっと守っていけますように。
どうかこの子がずっと好きでいてくれますように。
そんな想いを込めて、抱きしめた。
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