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目が覚めると、腕の中に恋人がいる。
その幸福感は、俺の心を満たした。
ふたりで裸のまま抱き合い眠りについたせいで、クーラーの効いた部屋でも暖かった。
起こさないようにそっと起きて、小夜を見下ろした。小さく寝息をたてる唇を指でなぞる。
可愛くて仕方がなかった。この唇で自分の名を呼び、好きだと言ってくれる。
愛しかった。
起こさないようキスを我慢して、ベッドから降りた。浴室に行き、シャワーのコックを捻る。
少しぬるめの湯温に調整して、ベッドに戻った。
ローションのせいもあり、乾いてカピカピになっている悲惨な体を洗ってあげないといけない。小夜のぐったりとした体をゆっくりと抱き上げた。
そっと洗い場に横たえると、俺は湯船の中に入って俺自身の汚れを先に流した。綺麗になったところで、洗い場の小夜の体をなるべく優しく抱き起した。自分の胸に寄りかからせ、顔に湯がかからないように微弱にしたシャワーをゆっくりとかけて、張り付いた汚れを流していく。
シャワーを止め、また洗い場に横たえた。
今度はベッドだ。
敷いたバスタオルを回収し、小夜を迎えに行く。くたりと横たわった温かい体を抱き起こし、新品のバスタオルで包み込んだ。ゆっくりと静かにベッドへと連れていく。
・・・良く寝てる。
照明を落とした。戻って、汚したバスタオルと、さっきまで着ていた服を洗濯機に放り込みスイッチを押した。
下着だけ履いてキッチンに行き、冷蔵庫からビールを取り出した。
「・・・ふー。」
ひとりでは無駄に広かったこの場所は、今は家具が入り、家族のいる暖かな雰囲気が出てきた。いつもと同じ、静かな室内でビールを飲むという行為なのに、この充足感は何だろう。
と、テーブルを見ると紙が小さく折りたたんであった。開いて見てみると家具の受取票で、サインに「風見」と綺麗な字で書いてある。
このサインを書いた時の小夜の顔が浮かんで、笑みがこぼれた。
これからはずっと一緒。幸せも辛いことも、ふたりでまっすぐに向き合っていきたい。
ビールを飲み干すと、小夜の眠るベッドに戻った。額に触れるか触れないかのキスを落として、横になった。
小夜の暖かな体温が眠りを誘ってくる。
・・・おやすみ。
風見は、大きく息を吐くと全身の力を抜いた。
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