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3.最悪の出会い?
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……の
「…あのっ!」
ハッと意識を戻すと、不思議そうに覗く凛の姿があった。
「あっ、えっ、と、ご、ごめんなさいっ!!」
咄嗟に立ち上がると、空気がこもった電車の中をかき分け、急いで閉じかかったドアに身を滑らせた。
「えっ!!ちょっとっ?!?」
驚いたように発した声を置いてきぼりにして、
電車のムンとした風を切るように走り去った。
息が苦しい、
視界が水の中のように揺れて見える。
重い体を引きずるように、ホームのベンチまで歩くと、ドカッと音を立てて座った。
詰まっていた息を思いっきり吐いて、呼吸を少しずつ整えていく。
なんで、いまさら。今更あいつなんかと。
もうずっと忘れていた、忘れたいと思っていた。
あんな最悪なやつ、もうとうの昔に頭から消し去ったと思っていたのに。
どうして。どうして。
「っはっ…はっ…。」
蓋をしたはずの悪夢が次々に蘇り、落ち着いたはずの呼吸はどんどん浅くなっていく。
会社だってあるのに、行かなきゃ怒られるのに。
立たなきゃ、行かなきゃ
その思いとは反対に、限界を迎えた体が傾いた。
「…けて。」
曖昧な思考の中で呟いた言葉は、自分でも聞き取れなかった。
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