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さてじゃあ本題に入ろうか、というところで見回りの教師に見つかった。
そろそろ就寝時間になるから部屋に戻れと言われたが、これからいいところなのに邪魔すんな。
そんなわけで俺達はお互い目を合わせて、気が抜けたようにクスリと笑い合う。
せっかくいい雰囲気だったのに、肩透かしを食らった気分だ。
大事な話はまた明日って事にして、二人で部屋に戻って布団に入る。
今日は枕投げはしなかったけど、昨日やったからもう満足してる。
あんな小学生の遊びは一回やれば十分だ。
二日目の夜ということもあって、皆しばらくは寝ないで話に花を咲かせる。
風呂でハルヤンから聞いた女子部屋に潜入したって話をしてやったら、めちゃくちゃ食いつかれたけど有坂になぜか俺が怒られた。おかしいだろ。
結局男部屋なんて最終的に下ネタの話になって、ソワソワしながら話を聞く。
そりゃ俺だって男だしエロい事にはちょっとというかかなり興味津々――なところで有坂に耳を塞がれて全員早く寝ろと一喝されて終わった。
布団に入って皆が寝静まったのを見計らって、コロリとローリングして再び有坂の布団にダイブ。
今日も絶対一緒に寝ないと嫌だし、俺にとって一番大事な甘えられる時間だ。
「ゆ、結城。だから自分の布団で…」
「嫌だ。一緒じゃないと寝れない」
昨日に引き続きズボッと布団から顔出すと、ニコッと笑顔を作る。
困ったように有坂が眉を下げたが、また同じようにすっぽりと俺を布団の中へと引き入れた。
さっき有坂と話をして、改めてお互いの気持ちを再確認した。
これから俺達はちゃんとお互いを信用しようって話になって、有坂が世にも珍しい顔で笑ってくれた。
もしかしたら俺は、少しは有坂を安心させてあげられたのかもしれない。
薄暗い布団の中でお互いの瞳を見つめ合う。
邪魔されたけどあんな話をしたばっかりだから、なんだかくすぐったくて照れくさい。
「…さっきの会話だが。お前が信用すると言ってくれたこと、本当に嬉しかった」
考えてたところでそう言われて、ちょっと驚く。
有坂も同じことを思っていたのか。
「ありがとう、結城」
布団の中で、小さく有坂がそう言う。
コクリと頷くと、愛しげに頬を撫でられた。
無性に甘えたくなって、頬に触れる手を取って指先にキスをする。
意思表示するようにそのままじっと有坂の目を見つめると、ギクリとしたように瞳が熱を帯びた。
「…結城、勘弁してくれ。わざとやっているのか」
どことなく余裕のない口調に変わって、胸が熱くなる。
もっと、もっと俺に夢中になって欲しい。
たくさん甘やかして、たくさん愛して欲しい。
「ふふ、可愛がってくれ」
「結城…本当にお前は――」
言いながら有坂が俺を引き寄せる。
腰に手を回してぎゅっと力強く抱き締めると、すぐ耳元に唇を寄せられる。
「本当にお前は、可愛くて愛しい」
熱っぽくそう耳元で囁いて、髪や額にキスをされた。
さすがに有坂も昨日の事を反省しているのか、優しく口付けるだけで今日はそれ以上してこない。
だけどお互いの目を見つめ合って、触れるだけのキスを繰り返して、微笑みあう。
手を繋いで指を絡めあって、それだけで十分幸せだった。
修学旅行の三日目が始まる。
今日も自由行動で、有坂とは夜まで別行動だ。
だけど昨日の夜の事もあって、二日目の時とはちょっと気の持ちようが違う。
「あれ、有坂マジで大丈夫か?環境の変化に弱すぎだろ」
どうやら有坂はまた寝不足らしく、今日は目の下にクマが出来ている。
環境変わると寝れない奴は大変だ。
と思ったら、またしてもなぜかじとりと目を細められた。なんでだ。
朝食を終えて班員と合流する。
今日は大自然の中ではなく、市街地で観光をする予定だ。
一番の目的は食べ歩きだが、名所となる場所も多く色々と散策する予定を組んでいる。
「ぷ、結城君なにこれ。いつのまに買ったの?」
ひとまずスクールバッグに昨日有坂から貰ったキーホルダーを付けていたら、朝宮さんに指摘された。
なんかバカにしてるが、そんな態度取っていいのか。
「有坂がくれたんだ。いーだろ」
フフンと自慢してやったら、朝宮さんは「有坂くんらしい」ってはにかんだような笑顔に変わる。
どうやら有坂のセンスのダサさを笑って許せるくらいの器量はあるらしい。
「お、これ美味い」
北海道と言ったらラーメンという班員の提案でラーメン屋に来たが、素直に美味かった。
俺的には北海道っていったらもっとウニとかいくらとかカニのが良かったけど、自由行動はあくまで普通の高校生のお小遣いの範囲らしい。
ちなみに昨日は何食ったのかなんて覚えてないくらい有坂の事しか考えてなかったけど、今日はちゃんと色々見て歩いている。
「今日は結城君、なんか楽しそうだね。やっぱ田舎より都会の方が好き?」
「どっちかって言ったらそうだな。でも圧倒されたのは自然だったかな」
「あ、分かるかも。地元にはないあの広さには感動覚えちゃうよね」
俺と朝宮さんが話していたら、他の奴らもおずおずと会話に参加してくる。
最初は俺が話すたびに戸惑ったり、中々目を合わせてくれなかったが、それでも自分が話そうと思えば意外に周りの奴らも会話に乗ってくる。
もしかして昨日から話していれば、いやHRで予定を組んでた時からちゃんと話をしていれば、もう今頃は当たり前のように普通に話せていたのかもしれない。
俺が今日ここまで心境を変えているのは、やっぱり昨日の事が大きい。
昨日有坂と話して、ちゃんとお互いに信用しようって決めた。
だから今日は有坂を信用して、なるべくモヤモヤしないように頑張ってる。
それに今日は俺が楽しかったことを、有坂にいっぱい報告したい。
きっと俺が今日一日寂しくてつまらなかったって言うよりも、楽しかった話をたくさんしたほうが有坂も喜んでくれるはずだ。
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