アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
、
-
瀧澤 礼。同じクラスメイトでピアノを専攻していて、クラスでは一匹オオカミのような存在。
口を利いたのは一週間前に告白をされた時が初めてだった。
だが、由良は瀧澤の存在は入学当初から知っていた。
我が家と引けを取らない有名な音楽一家で、彼もまた自分と同じプロとして活躍していたからだ。
若き才あるピアニスト。
家柄と年齢と実力だけでも目を向けるに十分値する瀧澤は容姿にも恵まれていた。
黒い髪に切れ長の漆黒の瞳。シャープな輪郭に高く筋の通った鼻に薄く形の良い唇。高身長で鍛えているのか、肩幅もあって綺麗な筋肉が付いた身体は服を着ていても分かるほどスタイルが良い。
男として総合的に申し分ない勝ち組だ。
そんな男なら、嫌でも目につく。
だけど、一年の時はクラスも違い、廊下で擦れ違う程度で何の意識も持つことはなかった。
だからといって、二年に進級し、同じクラスになったからとて、仲良しになる事もなかった。
由良はその時期、周りに気を取れる状況ではなかったから……
しかし、由良だけが問題だったわけじゃなく、瀧澤自身、自分の側に置くものを選ぶ少し偏屈な人間でもあった。
完璧な容姿に経歴を持つ彼とお近付きになりたい者はごまんといる。
しかし、瀧澤は決して愛想が良い男ではない。
自分と不釣合いと感じたら、悲しいぐらい率直な言葉で切り捨てると有名だった。
なので、誰もが皆、気楽に彼と接することはできないのだ。
ただ鋼の心を持つ、取り巻きはいつも瀧澤を囲んでは張り付いていた。
そんな瀧澤を由良はぼんやりと、意識の片隅で認識していた程度だった。
それが、ある日、教室に忘れ物を取りに行った時、教室にいた瀧澤に告白されたのだ。
『ずっと見てた。好きだから俺のものになれ』
あまりに傲慢で自身に満ちた告白だった。
この無骨な告白にもだが、瀧澤が自分に想いを寄せていた事に由良は驚いた。
上から目線な瀧澤に辟易したのは覚えている。
それと同時に『恋愛』をする気がない事から、由良は即決で返事を返した。
『音楽だけを愛する』と……
それは二年前にたてた自分への贖罪
二度と『音楽』を手放さないと誓ったのだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 26