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記憶 7
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歩くのくらい一人で出来るのに、軽々と肩に担がれて連れていかれる。
イカリさん………"そんな事"って言った……。
俺、飼い主の言うこと聞かなかったのに。
今までの自分の常識と何もかも違う。
怖い時に優しい声をかけられて、何か失敗しても痛いことをされない。
イカリさんはいつも、何も出来ない俺に呆れてため息をつく。でも、その手は俺を殴ることも捨てることもなく、ただ優しく触れる。
胸の奥が、お腹の底が、じんじんする。
冷えきっている氷を溶かすような、保っていた形がなくなっていく感覚が怖くて仕方ない。
どうしてイカリさんは他の人と違うの。
殴って犯して棄ててよ。もう何もいらないから。
優しい言葉も人間みたいな生活も温かい布団も、全部要らないから………………"俺"を壊さないで………。
服を簡単に剥がされ、浴室の床に座らされる。
だいぶ春らしい気温になってきたとはいえ、朝方の床のタイルはひんやりしていた。
ぼんやりと壁を見ていると、棚に置いてあるカミソリが何となく目にとまった。
シャワーの水音が聞こえ、イカリさんが出したんだとわかる。
ジャーッという音に混ざって声が聞こえたような気がしたけれど、上手く聞こえなかった。
…………………あれで切ったら、痛いかな。
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