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65.親の心子知らず。子の心親知らず。4
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「気が向いたらね。おれが言いたいのは音楽家として認めるってことだけだから。なにもあんた自身を父親として認めたわけじゃないからね」
「やっぱりひどい。圭は冷たいんだから」
「あんたの息子だからね」
「あ!それはおれを父親として認めたってことじゃ……」
「違うって。おれとあんたが親子なのは事実だってだけじゃん。認めたわけではない」
「なんだか屁理屈ばっかり。どこでそんな知恵をつけっちゃったのかねえ~」
唇を尖らせる圭一郎。
そこに有田が顔を出した。
「そろそろよろしいでしょうか?」
「有田」
「いたのか」
二人が顔を上げると、有田と高塚がいそいそと入ってくる。
「申し訳ありません。立て込んでいるようでしたから廊下で待っていたんですけど、どうにも記念式典の開始時間が迫ってきましたので」
「そっか。すまない。気を使わせて」
有田の後ろで気まずそうにしている高塚。
圭も彼に声をかける。
「今日はお疲れ様。もう一分張りだ。頑張ろう」
「そうだね!頑張ろう!圭くん」
「それではご案内する前に着替えされてください。そのままではちょっと。圭くんも楽器をしまってきてくださいね」
有田の指示に関口親子は立ち上がる。
有田と高塚が廊下に出て行くのを見て、圭も続く。
「圭」
「ん?」
「休み。なんとかするから。たまには四人でどこか行こうか」
「どこかってなに?どういうこと?」
「だから。家族旅行」
「へ?家族で?本当に休みなんか取れるのかよ」
意外なこと。
だけど、圭一郎にとったらずっと憧れていたこと。
「おれには有能な有田がいるからね。そういう自分はどうなのかな?」
「おれは休めるさ。蒼に許可もらわないとだけどね」
「かおりもなんとかしてもらうよ」
「問題は朱里だろうが」
「なんとかなるさ」
圭一郎に促されて歩く圭。
まあ、いっか。
こういうのも。
そう思っていた。
親子だから。
なんでもありなのだってこと。
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