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コンマ数秒悩んだ挙句、咄嗟に嶋は相手に叫んでいた。
「い…ッ、一緒に風呂入んねぇ!?」
いきなりのクエスチョンに、氷点下のブリザードが返ってくる。
「サイッッッテェ~~~‼」
鼻先でぴしゃりと閉められたガラス戸に、男はなすすべなくぺたりと両手をついて頭を垂れる他なかった…。
紫が着替えに置いていった服は、黒地に白い英字のロゴが印刷された半袖Tシャツとベージュの短パンだった。悪くない組み合わせに、疑惑が色濃くなる。
(やっぱ…アイツってオレのこと、よく見ているんじゃ…。)
慌てて、ブルブルと頭を左右に振る。立て続けに、両頬をべちべちと手で叩く。
(いや、だとしてもαのオレがヤんなければい~だけの話だから。女子でも辞退し続けているんだから‼誰が好き好んで、あんなツンケン性悪野郎と‼)
バスタオルの他に一枚あったタオルを肩にかけ、何やら物音のしている廊下の突き当りに向かう。
扉を開くと、そこはダイニングだった。扉すぐがリビングスペースになっていて、臙脂のソファーにテレビ、合間に背の低いガラステーブルがある。リビングの奥にある大きめの窓はどうやらベランダに通じているらしい。閉まっているレースのカーテン越しにコンクリートで作られたフェンスが見えた。…窓の上にあるクーラーが稼働していて、室内は涼しい。部屋の隅には、水色を基調とした扇風機が一台、ちょこんと置いてある。
リビングとキッチンスペースの境目はカウンターで仕切られていて、カウンター前には食卓用だろうか。木製の机が一つ。椅子が左右に一つずつ配置されていた。食卓の上には…ボウルと皿と透明なグラスが置いてある。近づいてみると、ボウルの中には冷水と氷が入っていて、中を泳いでいるのは信じられないくらい真っ白な素麺だった。もう一つの皿には麺つゆらしき濃茶の液体が揺らいでいて、鼻を近づけるといい匂いがする。ガラス製のグラスには、いっぱいの氷と並々茶色い液体が注がれている。一口啜ると、麦茶の香ばしい味が口にさぁっと広がる。
「…あぁ、シャワー済んだの。」
キッチンスペースから姿を現した紫の出で立ちに、相手はあっけにとられる。ワインレッドのエプロンに、紐付近にはウサギのアップリケがついている。…普段は隙を見せない学年首席のファッションとは、とても思えない。
(…だから、ギャップ路線で攻め撃ってくんなよ‼)
頭を抱える嶋に、相手は小首を傾げてみせた。
「…サイズ、見立て通りだったな。」
嶋は、絶句する。
「・ ・ ・。」
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