アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
63
-
嶋は口角が痛くなってきたところで笑うのをやめ、真剣に同居人と向き合う。
「なぁ、紫ちゃん。今度、高いところからの物の出し入れはオレに任せてよ。…そうすりゃ、くすぐったがりの紫ちゃんが、恥ずかしい声出さなくても済むしさ。」
「は、恥ずかしい言うな‼」
叫ぶ紫に、相手は腹を抱えて再び笑い出す。
「…くすぐったがりは認めるのかよ~‼」
「…~っ」
紫はぷいとそっぽを向いた。…けれど、彼の両肩は緩くはあるものの上下に楽しそうに揺れていた…。
(紫ちゃんは、どのアングルから見ても常に完璧だ。)
嶋は考える。声に出す。
「紫ちゃん、本ッ当にかわいいよね。」
すると、紫は視聴していたはずのテレビからさっと瞳を逸らし、小さく呟く。
「やっぱ嶋、変じゃない??」
「え~、嘘だぁ。…試しに言ってみ??オレのどこが変よ??」
「体勢。」
嶋が友人らと集まった四日後。金曜の夜。二人は、珍しく見たい番組が重なり、テレビの前にいた。テレビは、偉人の一生を描いた映画が流れている。
問題は、何故かαの青年は紫の膝の上にいた。…見たい番組がある、というのは嶋の建前で、Ωの膝枕を体験してみたい、のが本音だった。
意識させるために、スキンシップは効果的だろう。しかし、恋愛未経験者の嶋にとって、身体で迫るのは上級テクニックだ。
(抱く抱かない以前に、やり方知らんし‼)
…というわけで、ハグだの膝枕だのを盛んに取り入れてアタックを試みている。成果は…不明としか発表できない。
「男の膝枕なんて、硬いだけでしょ。本当、何考えてんだか…。」
口調はぶっきらぼうだが、紫の表情は明るい。満更でもないんじゃね、と嶋は現在睨んでいる。
「そうでもねぇよ??…ほら、紫ちゃんの膝ってこんなふっかふかだし。」
両腕を器用に使って太腿の端をまんべんなく揉むと、容赦なくべちんと叩き落され、更に一喝を食らう。
「…セクハラ。」
「だから、オレら野郎同士じゃん。痛ェ~~~…ッ」
両手にふーふーと息を吹きかけ、嶋はちらりと顔を上げる。仰向けになっている嶋からは、Ωの同居人が下方から望める。
_
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 146