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あの交通事故から2ヶ月が経ち、やっと退院できる日がやってきた。
和樹さんの実家からもお別れだ。
「今までお世話になりました」
「いえいえ。またいつでもきてくださいな」
別れを告げ、電車で和樹さんが入院している病院へ向かう。
「和樹さん。退院おめでとうございます」
「ありがと」
まだあばらの骨は完治していないので、暫く車椅子生活だ。
「じゃあ動かしますね」
この二ヶ月で誠は運転免許をとった。
誠が待つ車に和樹さんを乗せると、車椅子を畳んで後ろに乗せた。
一時間ほど車を走らせる。
「よいしょっと…着きましたよ」
「すげぇ立派な家…」
「和樹さんの家ですよ?」
クスクスと笑いながら家の中に和樹さんを入れる。
「案内しますね」
車椅子を引いて部屋を一つ一つ案内する。
プレイルームには絶対に入らないよう念を押した。
あんな玩具だらけの部屋がばれたら嫌われそうだ。
「ここが和樹さんの部屋です」
ドアを開けて中に入れる。
「部屋の中にテレビ…ソファー……すごいお金持ちだったの?」
「あんまり詳しいことは知らないんです。多くを語らない感じだったので」
リビングへ向かいながら復習する。
「いいですか?地下、立ち入り禁止の部屋には絶対に近づいちゃだめですよ?」
「わかった」
前の和樹さんと比べると聞き分けがいいなと思いながら、リビングへ向かう。
「ソファー座りますか?」
「いや、このままで大丈夫。大変でしょ?」
気を使ってくれたのか、俺だけソファーに座った。
気まずい空気が流れる。
「ねぇ」
「……なんですか?」
ただ声をかけられただけなのに、ビクッとなる。
「なんであの部屋には入っちゃいけないの?」
その質問を恐れていた。
「……引かれるかなって思って……」
「なにが?」
「……………あの部屋は…その……プレイルームでして……和樹さんが作ったものなんですけど……」
あまりピンと来ないらしい。
「見せてよ」
「いや…あの部屋はヤバイです。俺最初見たときフリーズしましたからね」
「えー……」
残念そうな声をあげる。
「……少しだけですよ…」
車椅子を動かして部屋へ向かう。
深呼吸をしてドアを開けた。
「………おわぁ…」
明らかに引いているような声を出す。
「え、まさかとは思うけどさ」
「……」
「ここで毎晩ヤってたの?」
「毎晩…ではない…です……週末だけ……」
「流石に自分で作ったとはいえ引くな……でもそんだけ祐の事が好きだったのかな」
過去形になった言葉を聞いて胸が苦しくなった。
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