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~空夜side~
「……初めまして、三矢よるです。」
「はっ、初めまして!赤津空夜です!」
合宿から帰宅して2日。
つい先日野球部が甲子園出場を決め、野球応援もコンクールの本番も迫ってきて忙しくしている。
そんな中、部活から帰宅したばかりの空夜は話に聞いていた女子高生と遭遇していた。
(お母さんー!!お兄ー!!)
家族での話し合いの結果、彼女をしばらく家で預かるということは空夜も納得の上理解している。
しかし、まさか春陽と一緒にではなく1人でくるとは思っていなかったし、よりにもよって母の恋は買い忘れた醤油を買いに出かけてしまったところだ。
「しばらく、お世話になります。」
「よろしくお願いします。」
しっかり頭を下げるよるに、空夜も同じくらい頭を下げる。
お互いどうしたらいいかわからなくなり、顔を上げてもじっと見つめあってしまう。
(どど、どうしよう。)
「くうにいちゃんまだぁー?」
リビングからは先程まで一緒に遊んでいた瑠梨の声が聞こえてくる。
2階では昂が夏休みの宿題中。
春陽はなぜかまだおらず、陸玖は部活でもう少し帰宅が遅くなる。
「と、とりあえず中に……荷物、はお母さん帰ってきてからにするから、そこら辺に……えっと、手洗い場所はあっち……リビングにいてもらおうかな……」
一つひとつにコクコクと頷き、反応してくれる。
「あと何か必要なもの、ある……?」
「とりあえず大丈夫です。」
「じゃあ、リビングそっちだから、待ってますね。」
「はい。」
よるは洗面所に行き、空夜は先にリビングに戻る。
「もどってきたー!」
「瑠梨、高校生のお姉ちゃん来たよ。」
「ほんとー!あそびたい、あそびたい!」
ぴょんぴょん跳ねる瑠梨は嬉しそうだ。
「お母さん帰ってきてからね。」
「うん、わかった!まぁまいつかえる?」
「もう少ししたら帰ってくると思うよ。おやつ食べて待ってようね。」
「はぁい!」
瑠梨が元気よく返事をする。
空夜が腰をあげるとドアが開いた。
「あっ、そこ座って。麦茶でいいかな?」
そーっとリビングに入ってきたよるに声をかけると頷いて、ソファに静かに座る。
もっと深く腰かければいいのに、と思うくらい遠慮していた。
「はい、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
麦茶を渡すと、一口だけ飲んですぐにテーブルに置いた。
「お菓子もあるけど、食べる?瑠梨のおやつも出すから……」
「私は大丈夫。」
「そう?」
瑠梨のおやつを冷蔵庫から出してきて、空夜も自分の麦茶を入れた。
小さなプリンを瑠梨に渡すと、少しずつ自分で食べ始めたので、気にかけながらも好きにさせておく。
「おねえちゃん、おなまえは?」
「三矢よる。よる。」
「よるちゃん?」
「うん。あなたのお名前は?」
ニコニコで話しかける瑠梨に、よるも優しく返してくれる。
事務所で瑛斗を見ているからなのか、一挙一動が丁寧で優しい。
「るり!」
「瑠梨ちゃん、よろしくね。」
「うん!まぁまがいいって言ったら、よるちゃんとたくさんあそぶの!」
「ふふ、私はいつでもいいよ。」
「ただいまー。」
「あっ、まぁまだ!」
玄関から声が聞こえてきて、瑠梨がリビングを出ていく。
空夜とよるもそれを追った。
「まぁまおかえりなさい!」
「ただいま。おやつ食べた?」
「いまたべてるよぉ。」
「美味しい?」
「うん!」
「お母さんおかえり。」
「お邪魔してます。」
「ただいま。よるちゃん、いらっしゃい。荷物とかあとで運ぼうね。」
「はいっ。」
みんなでリビングに戻ってきて、瑠梨はまたプリンを食べ始める。
「春陽と一緒じゃなかったの?」
「はい。赤津さん……春陽さんはおばあちゃんの家のホコリ取りで……」
「そういえばこの前言ってたなぁ。」
「あぁ、お兄背高いもんね。」
恋と空夜は思わず笑ってしまった。
「それじゃ、みんなが帰ってくるまで少しゆっくりしてようか。」
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