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戦闘?
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「……紫原君、ここって二階ですよね。」
「そうだね。飛び降りるのは無理だと思うよ〜。」
提案を即座に却下され言葉に詰まる僕。しかし、考えれば考えるほどそれ以外の方法はないという結論に辿り着きました。
前のドアには黒スーツ。
後ろのドアには赤司君と大分回復したらしい青峰君。あと黄瀬君と緑間君。
──強行突破は無理です。無理無理。
かといって黒スーツと応戦しても勝てる確率はほぼありません。
赤司君の呼んだ人ということなら、相当そういう感じの人。
加えてこの力の違いに数の違いも。
これで勝てるとか思った人はきっと正常な判断が出来なくなっているのでしょう。
僕はもう一度窓に目をやりました。
確かうちの教室の壁には、隣に排水パイプがあったはず。
それに、案外近くに数本の木も。さらにその中のひとつはすごく大きかった気もしました。
──だってほら、窓から木の先端が完全に見えますよ。
きっと飛べばいける。
「……紫原君。」
「マジで言ってるの?二階だよ?」
また即座に返されましたが、それ以外で勝てる確率の低さは紫原君も承知の上でした。
「パイプも木もあります。」
「パイプも木も無理だよ…」
「でも、それ以外に方法ありますか?」
言葉に詰まる紫原君。そう、それ以外に方法はもう無いに等しいのです。
「……どっちがどっちで逃げる?」
ハァ、とため息をもらして折れた紫原君。
「虫とかは無理なのでパイプ希望です。」
「虫……分かった。」
話もまとまり、僕たちは再度赤司君に向き直りました。
「作戦でも立ててたのか?無駄なことだ。」
赤司君の目が怪しく光る。光っていないが、反射で光っているように見える。
逃げるなら黒スーツが襲ってくる前にしなければなりません。
僕は赤司君を睨み、タイミングを見計ります。
「……無駄かどうかは自分たちで決めます。」
まだ。
「分かっていないようだな。お前たちの敗北は決定したことだ。」
まだ。
「決まってません。僕たちは負けません。」
ハ、と笑う赤司君。
──今!!
「紫原君!!」
突然の叫びにほんの少し気を抜いていた赤司君が固まる。そしてその隙に、紫原君が窓にかけ寄り開け放ってあった窓から飛ぶ。
つづいて僕も。
紫原君は木に、僕はパイプに無事飛べたので、そのまま地面に織り、校門に走り出します。
「ちょっと映画みたいって思ったの俺だけ?」
走りながらそんなことを言い出すので、二人で思わず笑い出してしまいました。
「……実は僕も少し思いました。」
負けない。
誰にも。
誰にも僕たちの軌跡は邪魔させない。
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