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悟さんの初恋
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「宗吉大丈夫かい!?」
大きな音を立てて部屋に入ってきたのは、会長だった。
悟さんはそちらを向くと、妖艶な笑みを浮かべた。
「やあ、薫。遅かったじゃないか。」
「兄さん…ただいま。」
会長は苦笑しながらそうとだけ返して、俺の前に立つと、頭を撫でてきた。
「大丈夫?宗吉、何もされてないかい?」
やっぱり何かされると思って来たな…
それほど悟さんとは危険な人物なのである。
俺が「大丈夫」とだけ答えると、会長は安堵した。
悟さんはクスクス笑っている。
「相変わらず、宗吉くんに過保護だな、薫は。」
「……大事な幼馴染みだから。」
悟さんはそれを聞いて益々笑った。
……本当に変わった人だな。
「で、この写真の人は誰なんです?」
俺がそう尋ねると、会長は「写真…?」と言って首を傾げている。
悟さんは先程のように会長にも写真を見せた。
「彼はね、うちの会社の社員なんだ。」
「社員さん…」
「…兄さんの恋人なの?」
会長は画像をスクロールしながら尋ねる。
悟さんは、
「違うよ。まだ、ね。」
と答えた。
イヤ、まだってどういうことですか。
悟さんはさらに続ける。
「でも将来、薫のお兄さんになる人だよ。」
「へえ!素敵だね。」
いやおかしいだろ。
高平家って色々段階を飛ばす人が多いよな。本当に。
会長も「素敵だね」じゃないだろ。
つっこめよ、頼むから。
「で、でも悟さん、その人とは仲が良いんですか?」
俺の問いに、悟さんはふふ、と笑って答える。
「違う部署だから、話したことも無いんだ。」
「え…じゃあこの写真は……」
「重蔵に撮ってもらったんた。よく撮れているだろう?」
…重蔵さん、仕事を選ばないな。
悟さんは珍しく頬を朱に染めながら、ほう、と写真を見つめた。
「実は彼に恋をしてしまってね…もう、夢中なんだ。ああ、彼が泣いている姿を想像しただけでゾクゾクする。」
悟さん、25歳にしてストーカーになる。
というか、悟さんが自分から人のことを好きになって、こんなに執着するなんて…
相手の人が可哀想になってきた。
「彼は人一倍努力家で、一目見たとき運命を感じたよ。…それに、彼にはちょっと事情があってね、だから私が力になりたいんだ。」
悟さんはその彼を想いながら、ふふと笑った。
ああ…悟さんも人間だったのか。
宗吉17年目の新発見である。
すると会長が、
「その人はマゾヒストなのかい?」
ときょとんとした顔で聞いた。
それな!
俺も思ったよ!!
でも敢えて聞かなかった!
悟さんは「残念ながらノーマルだ。」と言って笑っている。
そして今日一番の笑顔でこう言った。
「私が調教するから大丈夫さ。」
俺は「絶対振り向かせるゾ☆」という風に意訳して、とりあえず「頑張ってください…」とだけ返しておいた。
高平コーポレーションの社員さん…
ドSなストーカーに狙われてますよ……
気を付けて…
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