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我が家
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七瀬の作ったすき焼きをつつきながら、3人で話す。
学校のこと、ハワイの祖父のこと。
久しぶりの家族団欒である。
「そういや、高平家の三男坊とは仲良くしてるか?」
親父がネギを食べながら尋ねる。
「ああ…まあな。」
俺が苦笑いしてそう答えると、親父は嬉しそうに「そうかそうか」と頷いた。
……仲良くし過ぎてる位だろ…変なことされてるんだからな。
俺は会長にされたことを思い出すと、何故か顔が火照った。
七瀬は「薫兄上と毎日一緒だなんて本当に羨まし過ぎるでござりまする…」と呟いた。
七瀬は昔から高平三兄弟の熱狂的ファンなのだ。
悟さんのことを菖蒲の君、次男さんのことを牡丹の君、会長のことを鈴蘭の君と陰で呼んでいるのを兄ちゃんは知っているぞ。
「まあ、学校生活が充実してるなら良いことだな。」
親父がそう言って笑っていると、七瀬は食していた肉を飲み込んで、眉を寄せた。
「父上ったら、兄上にばかり甘いんですから…私には勉学に励めだの、女子(おなご)らしくしろだのと口五月蝿いのでござりまする…」
「それは七瀬が学校で問題ばかり起こすからだろ。」
俺は溜め息を吐きながらそう返す。
たまに七瀬が問題を起こすと、親父から電話が掛かってくる。
この間も親父が、『七瀬の友達をからかった男子3人を七瀬が背負い投げして校長室に呼ばれた』と俺に相談してきたのだった。
七瀬は頬を膨らませて、俺に言い返した。
「問題など起こしておりませぬ!ただ少しばかり下郎共を懲らしめてやっただけで…」
普通の女子はそんな事しねぇよ。
俺は、心の中でツッコんだ。
親父も呆れている。
これじゃあ当分彼氏なんか出来ないな、と口を滑らせる所だったが、なんとか飲み込んだ。
そんな事を言って、回し蹴りされるのは目に見えている。
それに、父親の前で妹と恋バナなんて気色の悪いことは御免だ。
俺は、帰省前に菅谷との惚気話を藤森にたくさん話しておいて良かったと思った。
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