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明の気持ち⑤和也side
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明は気づいてないかもしれないけど、「蓮…」と呟いた明の声は日代を求めるような声だった。
俺はその声と衝撃と虚しさで明から そっと離れた。
明を見ると、目から大粒の涙がポロポロと後からどんどん流れていく。
さっきのことで傷ついていないと言えば嘘になる。それでも明をこの手で安心させたいと自然と思った。
「あれ…、なんで、だろ………
涙なんて……わかんなっ……」
明は自分がなんで泣いているのかもわからない様子だった。
華奢で細い肩を震わせて泣いている。ひっくひっくと嗚咽を漏らしながら泣いている。目の前で俺の愛しい人が……泣いている…。
あとは無意識だった。ふわりと明の体を包み込む。ギュッと抱きしめて背中をトン…トン…と小さい子をあやすように叩くと堰を切ったように泣き出した。
「っ、うぁ………うわああああああ!!」
俺のシャツにジワジワと明の涙で跡がついていく。
明の涙はもう見たくないんだよ……俺が…俺が…!!
なんとも虚しい歯がゆい気持ちで いっぱいだった。
今ここの腕の中にいる明の存在を確かめるように力強く抱きしめた。
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明が泣き止むまで俺は黙ったままだった。……いや、正しくはかける声が思いつかなかったんだ。
ティッシュを数枚とると、明の赤くなってしまった目を優しく拭き取った。
泣きやんだ明は少しぼーっとすると、俺の顔をバッと見ると、眉毛をハの字にして下唇をきゅっと噛んだ。
……これは明が何か思いつめてる時の顔だ。1年から一緒で ずっと明を見てきたんだ。明の癖くらいわかる。
きっと明のことだから「心配はかけられない」とか「頼っちゃいけない」だとか思ってるんだろう……
それは明の長所であり、短所でもある。どうして周りに頼ろうとしないんだよ明…
思わず明のオデコにビシッとデコピンすると明はポポポンっと効果音がつくかのように頭に?が浮かんだ。
顔はポカーンとしていて、どうして俺がデコピンしたのかも分かってないみたいだった。
「全部背負い込もうとしてるだろ」と告げると、図星だったのか体がビクッと動いた。
そんな明の考えにカッとなってしまい…
「明はバカヤローだ!!!!
なんで何も言わないんだよ!!!
俺が…俺がいるんだぞ…!!
なんで時々 悲しい顔するんだよ!なんで苦しいって言わないんだよ!!!!」
ついつい怒鳴ってしまった…
こう言ってる自分も辛いんだ。明にとって俺はなんなのか分からなくて凄く不安なんだ……
俺が怒鳴ると明も俺の目を見てしっかりと告げた。
「だって……だって分かんないんだよ…!
自分の気持ちが…!!
蓮が好きで好きで……!!辛いことがあっても蓮が俺には必要不可欠で…!!
でもっ…!今…気持ちが揺らいで……!
和也の顔が浮かぶこともあって!!
こんな中途半端な気持ちを抱えてる自分が凄いイヤで…!!!
……もうっ…こんなの……!!…っあ、」
明は言い終わると「しまった」という顔をして口を手で塞いだ。
明はとても焦っていてダラダラと汗をかいている。
俺は明の言ったことがすぐに理解できなくて、明が本音をぶつけてくれたことも初めてで…うまく頭がついていかない。
「気持ちが揺らいでる…?」
「俺の顔が浮かぶことがある…?」
俺の思っていた気持ちは無駄じゃなかったことが報われた気がして途端に嬉しくなって……
自分でも顔が赤く、熱くなってきているのが分かった。
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