アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
弟の恋③ 杏奈side
-
明はゆっくり、ゆっくりと途中目をうるうると潤ませながら話してくれた。
自分が好きなのは男で、名前は蓮。一緒に住んでいたのも彼だという。
告白されて付き合い始めたが、付き合ってから浮気をする事があって辛かったこと。
そんな中、友達の和也くんの暖かさに触れて今 気持ちが揺らいでいること。
………それで蓮と別れてアパートを出たこと。
今までのこと、今の気持ち、全部聞いた。
話している時間は短かったが、明には私には考えられないくらいの長い時間だったんだと思う。
………ごめんね。明…辛い時、悲しい時、そばにいてあげられなくて…
話を聞いてあげられなくて……ごめんね……。
気づいたら私も泣いていて、明は私を見るとビックリした顔をして…
泣き止ませないとと思っのか泣き晴らしたぐちゃぐちゃの顔でにこっと笑った。
それを見て やっぱり、明の笑顔は綺麗だなって改めて思った……。
でも、明の話を聞けば、私は蓮が許せなかった。
どんな理由があろうと恋人を愛せなんて、ありえない。
男同士だろうが関係ない。……自分の弟を傷つけておいて黙っていられるはずがなかった。
「明さ……蓮くんじゃなくて和也くんにすれば幸せになれるんじゃない…?」
ポツリと独り言をつぶやくと、明はくしゃっと顔をゆがませてポロポロと涙をこぼす。
「あぁ~!ごめん、ごめん!姉ちゃんが悪かった!だから泣かないで~~!」
ギョッとして明をなだめると、明は首をフリフリと横にふった。
「好きなんだ…どんな酷いことされてもっ…辛くてもっ…
蓮が好きなんらぁ~~!だいすきなんらぁ~~!」
明は大きな声を出して言うと「蓮…蓮…」と愛おしそうに呟やいて、こてんと横になり、すやすやと眠ってしまった。
「え、あ…寝ちゃっ…た……?」
目を真っ赤に痛々しそうにして眠る姿に胸がいたんだ。
明……きっと大丈夫…。大丈夫だから…。
私が胸の中で思うと、明が少しだけ笑っているように見えた。
「おやすみ、明……」
私はそう言って明に布団をかけた。
涙でキラキラと光る明の長いマツ毛が、とても綺麗だった……。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
90 / 129