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6.キスシーンを見た瞬間-4
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そこは、誰にも気付かれなさそうな場所だった。
周りから死角になっているからか、皆その場所を通り越し、こっちを見ていない。
よく、こんな場所を知っているなと思う。
もしかしたら、ここで誰かを呼んで喰っていたのかもしれない。
三善をここに連れて来たように……。
「ねぇ、どうしたの? こんな所連れて来て……。撮影、始まるよ?」
三善は、冷静を取り戻そうと、自分から話しを振った。
そろそろ撮影の時間だ。
こんな所で話す時間は無いはずだ。
「僕も仕事あるんだからもど………」
「俺、三善さんが好きです」
突然、頭上から思わぬ告白めいた言葉を聞いた。
三善は、その声の主の方を見ず、その男の胸板だけを見詰める。
「な……なに言ってんの? あっ、もしかして、あのキスの事気にしてる?」
「ちが……」
「キスくらいで、惚れるとかないよ。それに君、あのキス初めてじゃないでしょ? ミカリちゃん言ってたよ。夏君のキスは上手かったって……」
でも、自分とのキスは上手くはなかった。
三善は、ふと、あの時のキスを思い出した。
ファーストキスだと言った、あのキスは、本当に下手で、子供がする様なキスだった。
あれは、三善を騙すための演技だったのだろうか。
そんな事を思ってしまう。
「上手いのは当たり前です! だって……あれは三善さんにされたのを思い出してしたから……」
「え……? 今…なんて……?」
三善は、バッと上を向き、上目遣いで夏を見た。
夏は顔を真っ赤に染めて、口元を手で隠し、続ける。
「……恥ずかしくて言いたくないんですけど。俺、マジでキスした事なんてないんで、三善さんにされたキスを思い出して、そのテクを相手にした…だけなんです……」
すみません。っと、夏は三善に謝る。
「三善さんが、どんな誤解してるか知りませんけど……。俺にとって、こういった事全て初めてなんです。キスも…その先とかも……俺今まで誰ともしたいとは…思った事なくて……」
夏はどんどん声を小さくした。
この歳で、とか言われるのだと思ったようだが。
なぜだろう。
三善は嬉しかった。
夏は三善の思っていた通りの男だと、再確認できたからだった。
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