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焦燥の契り(訳:全然友達できない)
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契約者(訳:友達)が出来ない。
可笑しい。僕に何が足りない…?否、満ち溢れ、すぎているというのか…?
おのれ!この忌々しき能力め!別に契約者など必要ない、必要ないが人類を闇に染めるためには人脈も…まあ、必要ではないかと、僕は右脳を唸らせているのだ。
だが!しかし!誰も話しかけてはこない!話しかけてくれるのは翡翠石の宿りし精霊の王、アルディン(訳:柳)だけだ。
あの後僕たちは『フルーツ☆ラヴ』について深く語り合った。アルディンのモモちゃんへの愛は本物であった。モモちゃんはフルーツ☆ラヴ内ではメジャーなキャラではあるが、残念ながらフルーツ☆ラヴ自体が世に羽ばたいているわけではない。それなのにたくさんの心臓のスペクタル(訳:キャラクターグッズ)や視界的蘇生具(フィギュア)を片っ端から手に入れているのだ。
尊敬に値する。僕の神秘の女神はなかなか微笑んではくれない。(訳:グッズが発売されない)そもそも林檎という名前が甘美である。アダムとイブが禁忌を犯した。その引き金となった、罪の果実。真紅のまなこ、血色の髪………美麗だ…。僕の心臓を蝕む小悪魔ちゃん…。
おや、いけない。僕の婚約者の話をしていたら、僕の幻想境界(訳:リアルの現状)の話が疎かになってしまうな。
話を戻すが、契約者ができないのだ。無論僕から話しかけたりはしたくない。何故か?…後にこの世の王となる身、気安く愚民と接触を計るなど言語道断。そういうわけで僕は今、天界に最も近い異空間(訳:屋上)にて自然を生贄として精製されし紅夜の雫(訳:ジャムパン)を貪っている。
…静か、だ…。天使の吐息(訳:そよ風)が頬を撫でる。虚無感が全身を襲う、これは、まさか、新たな魔術か…?!クッ、一体どこに隠れている?!僕を狙う愚かな死者よ!
バッ と立ち上がり禁忌とされる右目を解放する。キュイン、と右目が痛む…!(気がする)
辺りを見渡すと、タンクの裏から白い腕が転がっているのが視えた…哀れだな。僕の右目を騙すことはできない。誰も己の姿を欺くことはできない。わかるね?どんなペテン師も僕の前では無力に朽ちるのだ。
僕は音を消してその白い腕の転がっている敵地に踏み込んだ。ピクリとも動かない腕、術式か?変わった術式だ。
タンクの裏を覗き込むとそこに転がって居たのは…
「貴様か…。」
デネブの生まれ変わりよ、貴様、やはり敵だったというのだな!
間抜けな面を晒し、瞼の裏に瞳を隠している(訳:寝てる)デネブの生まれ変わりは、呼吸をしているのかすら曖昧な程ピクリとも動かない。……まさか、すでに死んだのか?
そっと近づき、デネブの生まれ変わりの顔にそっと右手を近付けてみると、辛うじて息はしているらしい。
この際トドメをさしてやる、鮮やかに…逝くがいい。
「ばぁ」
能力を発動しようとした途端、突然、ぱしっ、 と腕を掴まれた。
なっ!幻覚、だと…?!こいつ幻覚能力を持っていたというのか!なんと小癪な…!!!
舌を見せてゆっくりと身体を起こすデネブの生まれ変わりを睨みつけると、「アラ、えっちなことでもしたかったんかー?」とニヤニヤと笑われた。何をわけのわからないことを言っているんだ。そしてなんていやらしい笑みをうかべるんだ、こいつは。これぞまさに暗黒微笑だ。僕はこういった種類の人間に心当たりがある。…ついに暴いてやったさ。
「貴様、妖狐だな?」
キツいつり目に、常に口角の上がった口。普段は耳と尻尾を隠しているのだな。デネブの生まれ変わりだと思っていたが、この軽薄な態度を視て確信した。僕の右目は誤魔化せないのだ、愚かな妖狐よ。
「……妖狐?!あはっ!!!あはは!!人間、っ!うははっ!俺、人間だよ、?妖狐?まさか妖狐って言われるとは思ってなかっ、ぶふふぉ!!ハハハ!この間までデネブ?かなんかそんなコト言ってなかった?」
「誤魔化そうたってそうはいかない!騙されたよ。貴様の幻覚にまんまとひっかかり、デネブだと勘違いしていた。…ふ、貴様が妖狐であることを隠しているのは天使共から身を守る為だろう?安心したまえ、僕は堕天した身だ、貴様を捉えたりはしないさ。」
「話が、ハハハっ!話がなっげーよ!あは!あはは!うーん、妖狐ね?俺は妖狐なの?デネブじゃなくて?あー!!ウケる!やだもうお前すげーね?良くそんなアホみたいなこと真剣な顔で言えるね?」
「っな、まだしらばっくれるつもりか!」
「うん、ふふふ、いいよ妖狐?とかいうので。ところでダビデくん、友達できた?」
「…契約者など、必要ないさ」
「契約者?!あはっあはははっ!!だからジャムパン片手にこんなとこに居るんだ?バカ可愛いねお前。…ま、契約者できるまではここに来な、相手してやっから」
先ほどからけたけたと喧しい男だ。純白の刃(訳:歯)を見せて嗤うその姿は間違いなく妖狐。…やはり現世は面白い。是非契約者に、いや、…なにを考えているんだ僕は。
「…貴方は、」
「んー?あ、ジャムパンちょっとちょうだい」
「あっ、ちょっと勝手に咀嚼するのはやめてくれないか」
「咀嚼とかまた面白いコトいうなよー!んで、なんなの」
「あ、紅夜の雫が口の端についてるぞ」
「マジかー。っておい。」
ごすっ、と軽く衝撃波が脳を揺らす(訳:頭突きされた)。なかなか、手強い力を持っているんだな、この妖狐め。ええい!言ってしまえ!この言霊にのせて!
「……貴方は、け、け、…けい、や、」
「契約者になんねーのって?」
ぐっ、先に言われてしまったか。僕は手を顔に持っていき、指の隙間から妖狐を見つめた。さあ、頷け!そして悦べ!僕のしもべになれることを!
「や・だ・よ?」
なんと。
こんな屈辱があってたまるか。
心臓が漆黒の鎖に縛られる(訳:ショック)
ならばなぜ僕に構うのだ。妖狐の考えていることは堕天した僕にはわからないというのか?この右目を持ってしても…?
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